厚生労働省「平成16年 国民健康・栄養調査結果の概要」
厚生労働省は平成16年国民健康・栄養調査を発表した。糖尿病に関連の深い項目をまとめると次の通りになる―
1,960万人がメタボリックシンドローム該当者か予備群
今回調査では、虚血性心疾患や脳卒中など重大な病気を引き起こす危険性が高いメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる人と、その予備群の数の推計が行われた。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の状況(20歳以上)
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メタボリックシンドロームの有病者数は約940万人、予備群者数は約1,020万人、計1,960万人。これは男性の2人に1人、女性の5人に1人に相当する。メタボリックシンドロームが国民に大きく広がっている実態が初めて浮き彫りになった。
メタボリックシンドロームに該当する人とその予備群は、男性では30歳代の約20%から40歳代で40%以上、女性では30歳代の約3%から40歳代で10%以上に上る。40-74歳の中高年世代で特に多い。
推計は、日本内科学会、日本糖尿病学会など8学会が昨年4月に策定した同症候群の診断基準を参考に、2004年に実施した国民健康・栄養調査で対象とした約3,000人のデータを元に行われた。
現在の成人健診では、糖尿病や高血圧症など個別の病気の発見と予防が重視されているが、こうした症状と肥満が複合的に現れた場合、脳卒中や心疾患を発症する危険度が飛躍的に高まることから、厚労省は2008年度をめどに、メタボリックシンドロームの予防に焦点をおいた健診と保健指導への改革を目指してい
る。
男性の40%、女性の50%が脂肪の摂り過ぎ
食事のよるエネルギー摂取は、炭水化物、タンパク質、脂質のバランスをとり偏りのないものにすることが重要だ。一般的には炭水化物から50-60%を、タンパク質から15-20%を、脂肪から20-25%を摂るのが適正とされている。日本人に糖尿病が増えた要因のひとつに脂肪の摂り過ぎが挙げられており、「健康日本21」の目標値で脂肪エネルギー比率は20-40歳代で25%以下になっている。
今回の調査では脂肪エネルギー比率が25%を超えている人の割合は、成人男性で約40%、女性で約50%と高い割合だった。うち男性の約20%、女性の約25%がエネルギー摂取の30%を超えていた。
エネルギーの栄養素別摂取構成比の年次推移(総数)
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運動習慣のある人の割合は男性の20-50歳代、女性の20-40歳代で低い
運動習慣のある人(1回30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している人)の割合は、20-50歳代男性、20-40歳代女性で低い。年次推移をみると、単年ではばらつきがあるものの、経年的な傾向としては男女とも総数ではほぼ横ばいであり、顕著な運動不足の傾向が続いている。20歳代と30歳代で20%以下と特に低く、60歳代以上で男性40%以上、女性30%以上と高い傾向がある。「健康日本21」の目標値は運動習慣者の割合が男性39%以上、女性35%以上。
運動習慣のある者の割合(20歳以上)
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●平成16年 国民健康・栄養調査(厚生労働省)
概要 |
報告書
内臓脂肪型肥満
肥満は体脂肪が過剰に蓄積した状態をいうが、脂肪のつき方により、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満に分けられる。体重や体脂肪率が同じであっても内臓脂肪が多い人では、皮下脂肪の多い人に比べ動脈硬化性血管障害が起こりやすいことが知られている。
内臓脂肪型肥満を基礎にインスリン抵抗性が起き、糖尿病や高血圧、高脂血症などを併発することが多い。それらが互いに悪影響を及ぼしあって動脈硬化を加速度的に進行させ、
虚血性心疾患などの危険性が高くなるというのがメタボリックシンドロームの考え方。
外見からはそれほど太っているように見えなくても「隠れ肥満」であることがあるので、注意が必要となる。内臓脂肪型肥満はウエストサイズ(腹囲径)で見分けることができる。ウエストサイズが男性は85cm以上、女性は90cm以上の場合、肥満の悪影響が心配される。
[ Terahata ]