妊娠前と妊娠中に検査を受けることが重要
日本糖尿病・妊娠学会が行った調査で、妊婦の糖尿病(妊娠糖尿病)が年々増えており、妊娠中に検査を受けて発見されるケースが多いことが示された。
調査は日本産科婦人科学会の専門医研修施設になっている医療機関816施設を対象に実施したもので、231施設から回答があった。1996年から2002年の7年間に、国内の出産数の約10分の1に相当する約75万人分の妊婦のデータを分析した。
このうち5,232人が「糖代謝異常合併妊娠」と判定された。全体に占める割合は96年は0.55%だったが、毎年増え続け、02年には0.87%と1.6倍に増加した。
妊娠前の検査で分かったのは全体の40%にあたる2,099人、妊娠中に分かったのは58%の3,057人だった。
「妊娠糖尿病」は、糖尿病ではない女性が妊娠後に初めて発症、あるいは初めて発見される糖代謝異常のことで、診断基準は非妊娠時と異なる。妊娠する前から糖尿病であったり、あきらかに糖尿病と診断されるほどの高血糖になったときは「糖尿病合併妊娠」と診断され、妊娠糖尿病から区別される。
妊娠糖尿病になると健康な妊婦に比べ、生まれてくる赤ちゃんの過剰発育やそれにともなう難産などが起こりやすくなる。血糖コントロールは比較的容易であり、適確な治療が必要となる。多くの場合に分娩後に血糖値が下がるが、数年後に糖代謝異常が再度現れ糖尿病になりやすい傾向があるので注意が必要。
出産適齢期の女性で、近親に糖尿病の人がいたり、自身が肥満である場合は、妊娠前、妊娠中に血糖測定検査を受けることが重要だ。
参考:日本糖尿病・妊娠学会誌「糖尿病と妊娠」5巻1号、37頁、2005年
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妊娠糖尿病の診断基準
妊娠糖尿病の国内の診断基準は、75gブドウ糖負荷試験で、(1)負荷前の血糖値が100mg/dL以上、(2)負荷1時間後180mg/dL以上、(3)負荷2時間後150mg/dL以上
―のうち2つを満たす場合に診断する。この検査を妊娠の初期と後期に2回行い、妊娠前から糖代謝異常がある場合と、妊娠により血糖値が徐々に上がってくる場合の両方を発見する。
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