2005年度に「肥満傾向」と判定された小中学生の割合は、6歳から14歳の全年齢で30年前の児童・生徒を上回っていることが、文部科学省がこのほどまとめた「平成17年度学校保健統計調査」で明らかになった。糖尿病と関連の深い肥満の増加が国民全体で指摘される中、小中学校の段階から肥満対策を進めていく必要性があらためて示される結果となった。
年齢別肥満傾向児の割合
調査は、全国の公立小中学校の児童・生徒を対象に昨年4月から6月にかけて実施された健康診断を基に集計。性別・年齢別に身長別平均体重を求め、その平均体重の120%以上の児童を「肥満傾向児」とした。
親の世代が小中学生だった時期を30年前の1977年度と想定し、子供の世代と親の世代を比べその現状を確かめたところ、男女ともに全年齢で肥満傾向と判定された児童が増えていた。最も差があったのは12歳で、今年度が10.42%だったのに対し、親世代は6.64%だった。
内臓脂肪型肥満であると見た目では肥満と分かりにくい場合があるので、肥満傾向の児童は実際にはもっと多いだろうと考えられる。
「欠食」の小学生を5年でゼロに
政府の検討会は2月に、2007年度から5年間で肥満傾向児の減少などを目標に掲げた食育推進基本計画の最終案をまとめた。昨年7月に施行された食育基本法の理念を具体化するものだ。
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2003年)によると、朝食の欠食率は男女とも20歳代が最も高く、次いで30歳代が高かった。児童の欠食も増加傾向にあり、中学生で4.4%、小学校高学年で1.7%に上ることが示された。朝食の欠食は、1回の食事の摂取量が多くなり、肥満や糖尿病などの比率を高くする原因となる。
計画案には「肥満防止には子供の時期から適切な食生活や運動習慣を身につける必要がある」と明記され、具体的な数値目標が掲げられた。小学生の朝食の欠食率を0%に近づけ、成人で比率の高い20歳代と30歳代の男性についても15%以下に減らすことを目指している。
また、児童たちに食材や農業への理解を深めてもらうため、学校給食での地場産物の使用を全国平均の21%から30%以上にするとした。ほかに、内臓脂肪型肥満が糖尿病などの生活習慣病を引き起こし、より動脈硬化になりやすいことが分かっており、そのキーワードとなる「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」を知る国民の割合を80%以上に高めるとしている。
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第5回食育推進基本計画検討会
食育基本法
食品や栄養素のバランスが良い食事に関する適正な知識を身につける「食育」の推進に向け、国や自治体の取り組みなどを定めた法律。2005年7月に施行された。
[ Terahata ]