進行した糖尿病網膜症の管理としてレーザーによる光凝固療法を行うときに、患者の血糖コントロールが良好であると治療効果が向上するというギリシャの研究者らによる研究報告が、「Diabetes Care」10月号に発表された
。
血糖コントロールと糖尿病網膜症の進行の間に直接的な関係があることは知られているが、光凝固療法の効果に及ぼす影響や、尿中アルブミン排泄量についての検討は十分に行われていない
。
この研究は、リスクの高い増殖網膜症のある糖尿病患者115眼に光凝固手術を実施し追跡調査したもの。外科医1名が2週間おきに3回に分けて治療し、最後の光凝固の12週間後に検査したところ、良好な治療効果を得られたのは全体の56.5%(65眼)で、HbA
1cとの有意な関連がみられた。治療前、治療中および治療後にHbA
1c値が8%以下であると、良好な治療効果を得られるとしている。また、尿中アルブミン排泄量との関連はみられなかった。
研究者らは、リスクの高い増殖網膜症患者に対して、光凝固療法で効果をあげるために、厳格な血糖コントロールが不可欠であると結論付けている。
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詳細は「Diabetes Care」のサイトへ(英文)
レーザー光凝固
網膜の虚血部分へレーザー光を照射し凝固する手術。これにより虚血部分の酸素の必要量が減り、そこに新生血管が伸びてくるのを事前に防ぐことができる。また、新生血管がある場合は、血管そのものを凝固することもある。この手術は受ける時期が早いほど効果が高く、有効率は早期で80%、時期が遅いと50〜60%といわれている。
光凝固は新生血管の発生を阻止し、網膜症の進行を止めるのを目的とした手術で、その時点の視力を維持するために行われる。失明という事態の予防を目的に今日では積極的に行われている。
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