NGSP値への移行に伴う妊娠糖尿病診断基準の改訂について
2013年05月31日
日本糖尿病・妊娠学会
理事長 平松 祐司
平成25年4月1日以降、日本糖尿病学会では国際標準化に伴い、HbA1cの表記がNGSP値に統一されました。それに伴いまして、妊娠糖尿病の診断基準を下記のように改訂しましたので報告いたします。
定義:
妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM):妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。妊娠時に診断された明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)は含めない。
診断基準:
妊娠中に発見される耐糖能異常hyperglycemic disorders in pregnancyには、1) 妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM)、2) 妊娠時に診断された明らかな糖尿病overt diabetes in pregnancyの2つがあり次の診断基準により診断する
1)妊娠糖尿病 (GDM)
75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
- 空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)
- 1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)
- 2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
2)妊娠時に診断された明らかな糖尿病 overt diabetes in pregnancy
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
- 空腹時血糖値≧126mg/dl
- HbA1c(NGSP値) ≧6.5%
- 確実な糖尿病網膜症が存在する場合
- 随時血糖値≧200mg/dlあるいは75gOGTTで2時間値≧200mg/dlの場合* *いずれの場合も空腹時血糖かHbA1cで確認
註.HbA1c(NGSP値)<6.5%で75gOGTT 2時間値≧200mg/dlの場合は、妊娠時に診断された明らかな糖尿病とは判定し難いので、High risk GDMとし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である。
(平成25年5月改訂)