糖尿病の三大合併症の一つ。腎臓は血液中の老廃物を濾〈ろ〉過し尿として排泄する臓器ですが、この機能は腎臓内の糸球体という細い血管の集合体で行われています。高血糖による細小血管障害で糸球体の血管が傷められると、濾過機能は徐々に低下し、不要なものが血液中に溜まったり、逆に必要なものが排泄されてしまいます。また、腎臓は血圧の維持にも重要な役割を担っているので、その働きが障害されると高血圧が起きてきます。
腎症が進行すると、尿に蛋白が排泄されるようになり、やがて腎不全に至って透析療法が必要になります。現在、国内で毎年1万数千人が糖尿病性腎症により新たに透析療法を始めていて、これは透析療法が必要になる原因の第一位です。
腎症の自覚症状としては、むくみや疲れやすい、肌のかゆみなどがありますが、これらは腎症がかなり進行してから現れるもので、透析療法が必要な段階が近いといえます。腎症の進行を抑えるには、血糖コントロールとともに、血圧管理と蛋白質の摂取量を抑えることが大切です。