血液中の脂質「血清脂質」の量や質に異常がある状態。“悪玉”コレステロールが多い「高LDL-コレステロール血症」、“善玉”コレステロールが少ない「低HDL-コレステロール血症」、中性脂肪(トリグリセライド)が多い「高中性脂肪血症」の総称です。
糖尿病の人は脂質異常症を併発していることが多く、とくに中性脂肪が高くなりがちです。糖尿病と脂質異常症を併発していると、合併症(とくに動脈硬化)の進行が早まるので、より積極的な血清脂質の正常化が必要です。
なお、脂質異常症は以前、「高脂血症」と呼ばれていました。しかし HDL-コレステロールは高いほうがよいので、高脂血症という病名では紛らわしいことと、血清脂質の量的な異常だけでなく質的な異常(コレステロールのサイズや酸化しやすさなど)の関係もあるので、脂質異常症と呼ぶようになっています。ただし、LDL-コレステロールや中性脂肪が高い状態をさす意味では、今でも高脂血症という言葉が使われます。
脂質異常症の診断基準と管理目標
※加齢(男性は45歳以上、女性は55歳以上)、高血圧、糖尿病(予備群を含む)、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDLコレステロール血症を、それぞれ一つとして数えます。なお、脳梗塞や閉塞性動脈硬化症を合併していたり、糖尿病がある場合は、カテゴリーIIIになります。
〔日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版』より〕