劇症1型糖尿病
[ げきしょういちがたとうにょうびょう ]
1型糖尿病は2型糖尿病に比べると発病からインスリン療法が必要になるまでの期間が短いものですが、その1型糖尿病のなかでもとくに急激に発病するタイプがあることが近年わかり、それを劇症1型糖尿病と呼ぶようになりました。1型糖尿病の患者さんの約2割が該当すると考えられています。発病と同時にインスリンの分泌がほぼ完全になくなってしまうために、著しい高血糖、ケトアシドーシスなどの危険な状態になります。このため直ちにインスリン治療を始めないと生命が危ぶまれます。
診断時の検査では、血糖値が極めて高いにもかかわらず、ヘモグロビンA1cなどの長期間の血糖コントロールの指標はほとんど正常であることが特徴です。また、1型糖尿病の発病と関係がある自己抗体などの検査は、陰性のケースが多いこともわかっています。このほか、通常の1型糖尿病は小児や若年者に多く発病しますが、劇症1型糖尿病は成人に多く、とくに女性の場合は妊娠中の発病が多い傾向があります。