インスリン治療の選択肢の1つとして「インスリンポンプ療法」を、患者さんへ説明されていますか?(n=20)
「必要な患者さん」(20%)はもちろん、75%が「説明している」としており、インスリンポンプ取扱い医療機関では、インスリン治療の選択肢の1つとして情報提供が行われているようです。
「インスリンポンプ療法」は、どのような患者さんに適応するとお考えですか?(n=20)
  • 夜間低血糖がみられる患者さん 60%
  • 妊娠中の血糖管理が必要な患者さん 55%
  • すべての1型患者さん 45%
  • 血糖コントロールの意識が高い患者さん 45%
  • 生活スタイルが不規則な患者さん 40%
  • 小児・成長期の患者さん 35%
  • 膵臓摘出後の患者さん 30%
  • すべてのインスリン治療患者さん 15%
  • 頻回注射が必要だが、自身での管理が難しい患者さん 15%
  • 救急外来、手術前後の血糖コントロール 5%
  • 血糖コントロールの意識が低い患者さん 0%
  • その他 20%
 使用経験などから、「夜間低血糖がみられる方」、「妊娠中の血糖管理が必要な方」、「すべての1型患者さん」、「血糖コントロールの意識が高い方」といった患者さんに適応するとお考えの先生が多い傾向がみられました。
適応する患者さんのうち、機器操作・管理が難しい方は、どれ位?(n=20)
 インスリンポンプ療法は、患者さん自身による操作・管理等が可能であり、その機能を最大限に活用することで、より生理的なインスリン分泌を実現できるため、血糖コントロールに対する意識が高い患者さんに適していると考えられています。そういう意味で、適応が難しい患者さんは「20%以下」いるとする方が半数、「20〜39%位」が3割といった状況のようです。
インスリンポンプの導入がうまくいかない患者さんは、どのような理由が多い? (n=20)
 「機器の操作がなかなか理解できない」、「経済的な負担が困難」が半数、「患者さん自身の心配・不安」、「皮膚トラブル」が35%ということでした。
インスリンポンプ機器の操作や管理方法を主に指導・説明しているのはどなたですか? (n=20)
 主治医はもちろんですが、看護師さんも4割おられました。また、ポンプを導入している医療機関では、メーカーの担当者によるサポートを受けておられる方も多いようです。
インスリンポンプ導入から、患者さんが慣れるまでにかかる平均日数は? (n=20)
 「1〜2週間」と回答された方が4割と最も多く、25%の医師は「1週間以内」に慣れるだろうとの回答でした。
インスリンポンプの導入で、血糖コントロールは改善されていますか? (n=20)
 「徐々に改善されていくことが多い」との回答が半数、「目に見えて改善されることが多い」が3割と、血糖コントロールに対する有効性を実感されている方が8割でした。
インスリンポンプの普及率が低い理由は?(n=20)
  • 適切な指導を行う人員が不足している 70%
  • 必要な機材費用に比べ、保険点数が低い 65%
  • 必要な人員や指導の手間に比して、保険点数が低い 60%
  • メリットが知られていない 55%
  • 海外では使用されている、より優れた製品が国内では使用できない 40%
  • さまざまな誤解があるのでは 7 35%
  • HbA1cなどの既存指標のみが参照され、血糖変動マネジメントについての理解が低い 25%
  • トラブルなどのデメリットが強調されている 15%
  • 患者が高度な血糖コントロールを行えない 10%
  • わからない 0%
  • その他 25%
 「適切な指導を行う人員が不足している」、必要な機材費用、人員や指導の手間に比べて「保険点数が低い」からでは、と環境整備の問題を指摘する方が最も多くみられました。また、ポンプ療法の「メリットが知られていない」といった認知度の問題や、「より優れた機器が日本で使用できない」とする行政上の壁などを感じている方も多いようです。
「インスリンポンプ療法」の保険制度についてのお考えで近いものにチェックしてください。(複数回答可)
  • 現在の保険償還は十分ではなく、企業がより良い製品を開発し、国内に製品を導入するために、保険償還の適正化が必要 75%
  • 医療機関の持ち出しとなる可能性があるため、ポンプの消耗品は出来高払いにて保険償還されるべき 65%
  • 不十分な保険償還のため、必ずしも多くの患者さんに選択の機会が与えられないとしても、患者負担は上げるべきではない 55%
  • 医療機関の持ち出しとなる可能性があるため、ポンプの消耗品も、SMBG同様に複数月分の処方を可能とすべき 50%
  • 患者負担は上がったとしても、より多くの患者さんに治療法選択の機会が与えられることが望ましい 25%
  • 現行の保険制度では、患者が来院しない月は診療報酬が得られないので、レンタル業者への支払いは行わなくても問題ない 10%
  • ポンプの消耗品の材料費は、本来ポンプ加算に含まれるので、レンタル業者からの患者さんへの直送は望ましくない  5%
  • その他 5%
 「保険償還の適正化が必要」が75%、「ポンプの消耗品は出来高払いにて保険償還されるべき」が65%とする一方で、「患者負担は上げるべきではない」が55%、「ポンプの消耗品も、SMBG同様に複数月分の処方を可能とすべき」が50%といった回答でした。
通院する患者さんで、規定条件に合った患者さんがおられた場合、「小児慢性特定疾患治療研究事業」の制度を活用されていますか?(n=20)
 65%が「積極的に勧めている」との回答でした。「患者さんから話があれば」という方を含めると、8割が活用しているという状況が見受けられます。
1型糖尿病の患者さんが医療費の補助を受けられないことについて、どのようにお考えですか?(n=20)
 「国や自治体からの助成制度が必要」と考える医師は75%、年間医療費として捉えると「高額医療の適応が妥当」とする方は15%と、回答された9割の医師が、1型糖尿病患者さんに対する助成の必要性を感じておられるようです。
頻回注射療法の患者さんの平均来院頻度は年間何回ですか? (n=20)
 「10〜12回」と、ほぼ毎月という方が55%、「6〜9回」が25%でした。また、“最近、経済的な理由で来院を延ばす人が増加している”とのコメントもありました。
インスリンポンプ療法の患者さんの、平均来院頻度は年間何回ですか? (n=20)
 12回が85%と、ほぼ毎月とのことです。
「インスリンポンプ療法」を行う患者さんの来院頻度はどの程度が妥当? (n=20)
 インスリンポンプ療法を行う際、現行の保険制度では、材料費を償還するために、患者さんには毎月通院してもらう必要がありますが、ポンプ療法を行う医師の70%が来院頻度を「減らしても問題ない」との回答でした。
インスリンポンプ療法について、今後の普及に対するご意見など(自由記述)
  • インスリンポンプ療法については採算を目的にせず、患者様と医療スタッフのためと志高く、積極的に導入しています。認知症のある施設入所1型糖尿病患者様でも導入している人がいます。県外のセミナーに度々参加し、カーボカウントも指導していますが、外来導入はしていません。1型糖尿病患者様は若く仕事が忙しい人が多いので、インスリン注射のように外来導入がスムーズに可能になれば、もっと普及できると思います。
  • 健康保険での患者利益もあり、ある程度のデバイスギャップは仕方がない。USAの医療状況は悲惨。インスリンポンプは医師の意識や理解が低く、患者が望んでも、自分が苦手なため患者に勧めない医師が多数いる。ムラ意識の日本ではゆっくりしかすすまないだろう。単純に予防注射や原子力と同じで社会の意識の問題。通院回数はコントロールが良ければできる限り少なくしておかないと、医師として出席日数や勤務評価で不利となる。治療やコントロールでの勘案が必要だろう。
  • きちんとした保険点数をつけるべき。
  • 良い治療法であるにも関わらず、病院や患者さん両者が費用面でインスリン頻回注射より負担が大きくなってしまうことや、毎月通院しなければならないというような制約が、日本中で普及しない原因ではないかと思っています。
  • インスリンポンプを使用している患者さんは意識が高く、ご自分でうまくコントロールされている患者さんが多いため、むしろ外来受診はあまり必要ないと思う方もいらっしゃいます。現行の保険制度を見直す必要があると日々感じています。CGMにしても電波法という法律で無線のものが使用できず、現在使用できるものも病院として一定の基準を満たさないといけない、等さまざまな制約が日常臨床の妨げになっている気がします。最新の治療や検査に対するハードルが高すぎるのでは。
  • 医療機器購入を医療保険の適応にする。
  • 最新の医療機器が使えるような法整備が早急に必要。
  • 全体的に医師のCSIIの経験が少ない。大学病院などがもっと積極的にCSIIを用いて、若い医師がもっとCSIIに接することで、将来的にCSIIを十分に管理できる医師数が増えるのでは?と考えています。
  • 医療者がポンプ療法について勉強する機会をもっと増やす。患者への情報提供を積極的に行う。
  • 現状の国内のシステムも世界的標準に比すれば優れた面も多い。最新が最善に等しいこともなく、最新を求めるあまり公正さを失ってはこの国の医療体制にそぐわなくなる。ポンプ普及については、医療者において正しい知識をもっと広める必要があると考える。
  • 多くの業者が参入できる環境整備、2型も含め多くの患者が使用することで市場として広がる。ポンプも単純で安価なポンプや高度で高価なポンプなど選択肢が増えることが望ましい。今のまま管理料で保険請求する場合は高度なポンプ療法と簡単なポンプ療法などで保険点数に段階分けをする。できれば、経費の3割負担とするとポンプ代消耗品も必要な分の3割を支払うということで公平になる。高額なポンプに関しては高額医療で還付できる。また1型糖尿病患者のインスリンに関しては公費負担にするべき。
2011年06月更新
インスリンポンプ情報ファイル

Q1.インスリン治療の選択肢の1つとして「インスリンポンプ療法」を、患者さんへ説明されていますか?
Q2. 「インスリンポンプ療法」は、どのような患者さんに適応するとお考えですか?
Q3. 適応する患者さんのうち、機器操作・管理が難しい方は、どれ位?
Q4. インスリンポンプの導入がうまくいかない患者さんは、どのような理由が多い?
Q5. インスリンポンプ機器の操作や管理方法を主に指導・説明しているのはどなたですか?
Q6. インスリンポンプ導入から、患者さんが慣れるまでにかかる平均日数は?
Q7. インスリンポンプの導入で、血糖コントロールは改善されていますか?
Q8. インスリンポンプの普及率が低い理由は?
Q9. 「インスリンポンプ療法」の保険制度についてのお考え
Q10. 「小児慢性特定疾患治療研究事業」の制度は活用されていますか?
Q11. 1型糖尿病の患者さんが医療費の補助を受けられないことについて、どのようにお考えですか?
Q12. 頻回注射療法の患者さんの平均来院頻度は年間何回ですか?
Q13. インスリンポンプ療法の患者さんの、平均来院頻度は年間何回ですか?
Q14. 「インスリンポンプ療法」を行う患者さんの来院頻度はどの程度が妥当?
Q15. インスリンポンプ療法について、今後の普及に対するご意見など(自由記述)