糖尿病をもつ成人の患者はインフルエンザにかかりやすいので、インフルエンザの予防接種をうけるべきだとする研究が発表された。
糖尿病の人はインフルエンザの発症率が高い
先進国の多くで、すべての糖尿病患者はインフルエンザの予防接種を受けることが勧められている。しかし、流行前のワクチン接種にどれだけ効果があるかを調べた研究は多くない。
欧州糖尿病学会が発行する医学誌「ダイアビトロジア(Diabetologia)」に発表された新しい研究で、働き盛りの労働年齢では、糖尿病をもつ人は糖尿病でない人に比べ、インフルエンザにかかる危険性が高いことが明らかになった。
この研究は、カナダのアルバータ大学公衆衛生学部のジェフリー ジョンソン教授らによるもの。カナダのマニトバ州で2000〜2008年に肺炎や高熱などのインフルエンザとみられる症状を示し、医療機関で入院治療を受けた全ての患者を対象に調査した。
対象になった患者数は16万3,202人で、年齢は18〜64歳(平均年齢 52.5歳)、48.5%が女性だった。
調査の結果、糖尿病患者は、糖尿病でない人に比べ、インフルエンザの発症率が高く、インフルエンザ予防接種を受けている割合が高いことが示された。それでも糖尿病患者がインフルエンザのために入院するリスクは、糖尿病でない患者より6%高かった。
さらに、ワクチン接種による害は比較的小さく、特に成人糖尿病患者においては年1回の予防接種を推奨したガイドラインを裏付ける結果になった。
すべての糖尿病患者にワクチン接種を推奨
糖尿病の人が血糖コントロールが良くない状態が続くと、インフルエンザなどの感染症に対する体の免疫機能が低下している場合がある。米国糖尿病学会とカナダ糖尿病学会は、すべての糖尿病患者がインフルエンザの予防接種を受けることを推奨している。
一般的にインフルエンザの流行前の予防接種は、成人すべてに勧められるが、糖尿病患者は優先度が高いという。
研究では、糖尿病患者の20%がワクチン接種を受けるだけでインフルエンザによる入院は減少し、コストに見合う効果が得られるという。ただしこの試算は、調査を行ったカナダのマニトバ州のもので、地域が異なれば若干の変動がある可能性がある。
「糖尿病をもっている働き盛りの年齢の人が、インフルエンザにかかるリスクが高いことが確かめられました。ワクチン接種を推奨する正当性を裏付けるために、さらなる研究が必要です」と、研究者は述べている。
Working-age adults with diabetes experience greater susceptibility to seasonal influenza: a population-based cohort study(ダイアビトロジア 2014年2月)
[ Terahata ]