1型・2型糖尿病、妊娠糖尿病の人が加入できる保険が注目されている。もしものときに保障を受けられる保険は、できる限り経済的な負担を少なくするために役立つ。
糖尿病のタイプを問わず加入できる保険
糖尿病の人は、神経障害、網膜症、腎症といった合併症のほかに、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化に関連の深い病気にかかる割合が、糖尿病でない人に比べ高い。しかし医療は進歩しており、糖尿病の病態に応じてさまざまな治療法が開発されている。糖尿病合併症の治療や予防も年々進歩している。
現在は、糖尿病の人が天寿を全うすることは珍しいことではなくなった。その一方で「糖尿病の人が入れる保険が少ない」という声が多い。加入できる生命保険や医療保険があっても、保険の掛け金が高い場合が多い。特に小児期の発症が多い1型糖尿病に対する保障はまったくないのが現状だ。
エクセルエイド少額短期保険は、糖尿病有病者向けに医療保険と定期保険を提供している。この保険は、満6歳から、糖尿病(合併症を含む)を発症している人が、3項目の告知(無診査)で加入を申し込むことができる。加入後は、加入前から発症している糖尿病(合併症を含む)だけでなく、糖尿病以外の病気やケガも保障し、特に合併症に対する保障は手厚いという。
なぜそのような保険商品が可能になったのか、発売後7年を迎えるエクセルエイド少額短期保険の和田敏文社長に聞いた――
糖尿病の人を経済面からサポートしたい
和田 「糖尿病が強く疑われる人」は950万人、「糖尿病の可能性が否定できない人」は1,100万人、合計2,050万人が糖尿病かその予備群と発表されました。糖尿病患者さんの数は増えています。しかし、糖尿病のある方への保障は十分に提供されていないという実情があります。これまで保険業界で仕事をしてきて、糖尿病の方は家族を含め私の周辺にたくさんおられましたが、その多くが「加入できる保険がない」と困っておられました。
従来の医療保険では糖尿病患者さんに対する加入条件が厳しく、糖尿病に特化した保険もありませんでした。私はこれはおかしいと思い、なんとかしたいと常々考えていました。これが国内で初めて糖尿病患者向けの医療保険と定期保険を始めたきっかけになりました。
糖尿病は完治しない病気です。糖尿病の人がそうでない人と同じように元気に生活していくために、糖尿病の検査と治療を継続して行う必要があります。それと同じように、経済的なケアが必要となることも必ずあるはずです。さらには、患者さんの病態を考えた保障も考える必要があると思っています。
エクセルエイド少額短期保険は、病気・ケガによる入院や手術を保障する医療保険「新だいあびーてぃーず80」と、糖尿病に加えて歯周病の治療通院も保障する医療保険「ぺりおDM80」を提供しています。それぞれ、「3カ月以内に医者から手術・入院を勧められたか」「2年以内に何らかの病気で手術・入院をしたか」などの3つの条件に該当しない場合に加入できます。死亡保障の定期保険「だいあびーてぃーず300」は100万円、200万円、300万円の3つのコースからお選びいただけます。
1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病など、糖尿病のタイプを問わず、どんな方でも利用でき、インスリン療法を行っている患者さんもご加入いただけます。1型糖尿病の方に限り、告知の緩和措置を設けており、過去2年以内にインスリン投与またはインスリンポンプ装着による入院、手術をした場合でも、退院の翌日から3ヵ月以上経過していれば、ご加入いただけます。
エクセルエイド少額短期保険は2006年8月に設立され、2007年6月に内閣総理大臣の登録を正式に受け、財務局の下で活動している。エクセルエイドの保険は、他の生命保険会社などが売っている生活習慣病向け保険と比べ、保険料がかなり安く加入しやすいという特徴がある。医療保険は0歳3ヵ月(定期保険は満6歳)から、いずれも満89歳までの人が加入することができる。
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入れる保険がないと思ってあきらめていたのに加入できた
保険料が安いことは負担感の軽減につながる。これだけ安くできる理由は、2006年の保険業法改正により出てきた「少額短期保険」という保険制度にあるようだ。
和田 私どもの保険は「少額短期保険」といわれるものです。少額短期保険は一定の事業規模の範囲で、その名の通り取り扱う保険金額が「少額」、そして保険期間が「短期」(1年の更新型)の保険契約の引受だけを行う事業をいいます。
少額短期保険は保険金額に上限はありますが、これまで保険会社が扱わなかった分野でのきめ細かいサービスを行えるという強みがあります。保険に加入された方の中には、これまで入退院を数回行い、1ヵ月以上入院したこともあり「入れる保険がないと思ってあきらめていたのに加入できた。医療費の支払いが高額になりつらかったので本当に助かった」という方もおられます。
保険期間が1年なので、契約を継続していただくときは更新が必要となりますが、負担感が少ない保険になっており、発売をして1年以上が過ぎた時点でほとんどの方に更新いただいております。
1年に1度の契約更新を行うことをきっかけに、治療への取り組みやご自分の体をご自身で管理していこうという意欲をさらに高めていただけるよう、お役にたてるのではないかと思っています。更新時に、糖尿病に対する健康管理・維持を勧める「あなたのための健康アドバイス」(無償の健康診断)をご案内しています。
糖尿病の方が血糖コントロールが不良であると、がんや心疾患、脳卒中などの危険性が上昇します。糖尿病が関連して死に至る人は、がんを上回ることをあらためて認識してほしいと思います。血糖値が高い、もう糖尿病だ、でも大丈夫と過信していたならば、それはご自身を不幸にするばかりでなく、ご家族をも不幸にさせてしまうのではないでしょうか。ぜひとも、過信しないで、ご家族のためにも医師の指導を受けることを切に望みます。
エクセルエイド少額短期保険の和田敏文社長は、57歳(2006年)のときに、同社を設立した。「糖尿病はリスクの高い病気。一番リスクの高い病気を引き受けて、引き受けるだけでなく、合併症の予防を啓発していくという事業をしてみたい」という思いから、事業を開始したという。
和田 私の父は糖尿病でした。胃がんであることが判明してから、わずか2週間で亡くなってしまいました。享年69歳、今もって、もっと早く糖尿病に対する認識を深め、治療を強くすすめていたらと悔やまれてなりません。糖尿病の方向けの医療保険をつくったときには、そのような思いもありました。
人を助けるための保険であるべきなのに、当時は“リスクの高いものは引き受けない、糖尿病になるとリスクがかなり高いので、引き受けない”というのが一般的な傾向でした。そういう流れの中で、業界初の試みとして、糖尿病や歯周病が発生していても、3つの告知で加入できる、0歳3ヵ月から加入できる、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病の方でもご加入できる保険をつくったのです。
糖尿病は、主体性をもって積極的に治療に取り組む必要のある病気です。そうした方のために、自立されることを願いながら保障を提供しています。毎年最大で80万円までの保障ですが、糖尿病の治療は1回で終わるものではないので、毎年継続して取り組んでいただきたいと思います。
[ Terahata ]