糖尿病を発症するとがんの発症率が上昇する傾向があることが、さまざまな研究で確かめられている。糖尿病患者は、乳がんと結腸がんの発症率と死亡率が高いことが、最新の調査で明らかになった。
過去の研究で、糖尿病患者では全がんによる死亡率が高いことは示されていたが、他の死因を除外した上で乳がんと結腸がんによる死亡率が高いことが分かったのは、今回の研究がはじめてだ。オランダのエラスムス大学医療センターのカースティン ドゥ ブラン氏らが、アムステルダムで開催されている欧州がん学会(ECC2013)で発表した。
研究チームは、2007〜2012年に発表された20件の研究を調査し、乳がんや結腸がんを発症した190万人以上の患者を対象に解析した。その結果、糖尿病を発症した患者はそうでない患者に比べ、乳がんの発症率が23%高く、死亡率は38%高いことが判明した。結腸がんに関しては、発症率は26%高く、死亡率は30%高かった。
今回の研究は、糖尿病患者では乳がんと結腸がんの発症率と死亡率が高いことを示した過去の知見を裏付けるものだが、糖尿病とがんの関連はこれまで知られていた以上に強いことが明らかになった。ドゥ ブラン氏ららは今後の研究で、メトホルミンなどの糖尿病治療薬やインスリン、糖尿病の罹病期間とがん発症の関連について調査する予定だ。
今回の発表を受けて欧州がん学会理事長のコルネリス ファン ドゥ ヴェルデ教授は、「加齢や糖尿病、肥満、不健康な生活スタイルは、がん発症と相互に関連する危険因子となる。乳がん予防キャンペーンと糖尿病対策キャンペーンは、がん予防に関する情報を提供するためにも、連携して行われるべきだろう」と述べている。
Diabetes Increased Risk for Developing, Dying from Breast or Colon Cancer
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[ Terahata ]