米国糖尿病学会(ADA)は、米国の糖尿病による負担額が2012年に23兆円(2,450億ドル)に上ったと発表した。2007年の16兆3,000億円(1,740億ドル)に比べ、5年間で41%増加した。
今回発表されたのは、糖尿病や糖尿病合併症の直接的な医療費に、糖尿病によって損なわれた経済的損失などを加え算出した額。医療機関での診療や治療薬などのために16兆5,000億円(1,760億ドル)、糖尿病のために減少した生産性や社会的損失のために6兆4,000億円(690億ドル)が、それぞれ費やされた計算になる。
「米国では糖尿病とともに生きる人の数がますます増えています。それにともない、糖尿病の経済的負担も増加しています。米国の医療費の10分の1が糖尿病と糖尿病合併症のために使われています」と、ADAの医学・科学部門の責任者であるロバート ラトナー氏は話す。
米国で糖尿病とともに生きる人の数は成人や小児、若者を含め2,600万人に上る。加えて、7900万人が2型糖尿病を発症する危険性の高い糖尿病予備群(prediabetes)だ。
糖尿病のある人の医療費は、そうでない人に比べ2.3倍高くなる。糖尿病治療の患者1人当たりの医療コストは、年間74万円(7,900ドル)だった。2007年には62万円(6,649ドル)だったので、5年間で19%増加した計算になる。
「糖尿病の経済的負担について考えるときに重要なのは、糖尿病の治療を受けておらず放置されたままの有病者が多いことです。糖尿病合併症が進展してしまってから治療を開始すると、医療費は高くなります。糖尿病は適切な治療を続ければコントロールできる病気です。治療を受けないことにより生じる社会的な損失は甚大です」と、ラトナー氏は言う。
糖尿病は初期の段階から治療を開始することも重要視されている。初期のうちから治療を受け合併症を予防できれば、それだけ医療費や社会的負担を減らすことができる。
米国では糖尿病が爆発的に増えており、有効な対策を施さないでいると、2050年には成人の3分の1が糖尿病や糖尿病予備群になると予測されている。
American Diabetes Association Releases New Research Estimating Annual Cost of Diabetes at $245 billion(米国糖尿病学会 2013年3月6日)
Economic Costs of Diabetes in the U.S. in 2012(Diabetes Care 2013年3月6日)
[ Terahata ]