近年、血糖コントロールのための「糖質管理」が注目されています。従来のカーボカウントに加え、糖質制限食、食べる順番法など、食後の血糖上昇を抑える食事が糖尿病患者さんのみならず、健常者向けのダイエット法としても話題になっています。そこで、糖尿病ネットワークは、「糖尿病患者さんの糖質管理と指導」に関するアンケート調査を今年8月にメルマガ会員へ行い、現状を探ってみました(有効回答数は、医療スタッフ75名、糖尿病患者さん312名)。
患者さんの7割が糖質制限を経験
少しでも血糖値を下げるために
糖尿病患者さんに聞きました
調査結果によると、糖尿病患者さんの9割以上が、糖質摂取で血糖が上昇することを知っており、市販の食品を購入する際も、8割以上の方が、糖質や炭水化物の含有量をチェックしていると答え、糖質摂取の意識はとても高いことがわかりました。また、糖質を制限する食生活を行ったことがあるかについて、回答した患者さんの半数以上が「現在行っている」とし、以前に行っていた方を含めると、約7割が経験者。その経験者に、なぜ糖質制限を行ったか理由を聞いてみると、9割以上の方が「少しでも血糖値を下げるため」と目的は明らかでした。
そんな患者さんの意識向上も手伝ってか、市販の糖質調整食品(糖質カット、糖質ゼロ等が明記されているもの)を、8割以上が「利用している」とのこと。
血糖コントロールに役立つが
自己流には注意が必要
医療スタッフでは、糖質の過剰摂取による血糖コントロール不良の患者さんは「多い」との回答が約8割。これを受けて、「糖質」の摂取量に配慮するよう指導しているかについて、約半数が「患者さん全員へ行っている」、約4割が「食生活に問題のある患者さんに行っている」とのこと。
また、食事の糖質量(もしくは炭水化物量)を意識、管理することは、血糖コントロールの安定、改善に役立つかを伺ったところ、53%が「必要な患者さんには役立つ」、44%が「役立つ」と、97%が「役立つ」としており、食事の糖質摂取量を適正に減らすことで、メリットのある患者さんとして、「糖質の過剰摂取を是正する必要がある方」が76%、「患者さん皆が知っておく価値がある」とする方が48%、「外食中心の生活の方」が47%と続きました。
一方、“極端な糖質制限”を行うことでのリスクや禁忌について、医療スタッフから「指導や説明を受けた」とする患者さんは28%で、「腎症のある人は厳禁」であることを知っている方は3割弱など、具体的なリスクについてはあまり周知が進んでない現状も浮き彫りに。
自由記述では、医療スタッフからは、‘自己流で行っている患者も多いので医療者、患者を含め正しい知識を持つことが大事’‘糖質制限とカーボカウント、従来のエネルギー制限食の利点と欠点を患者さんに説明し、患者さん自身に選択してもらうとよい’、患者さんからは、‘糖質制限のリスクより、食後高血糖による合併症進行リスクの方が大きいと思う’‘減量して血糖値を下げるよう指導するよりも、炭水化物を摂りすぎない指導を全面に出す方が効果的なのでは’‘これまで、栄養バランスとエネルギー摂取について教育を受けてきた。これに糖質管理をどう組み合わせればよいのかわからない’など、熱心なコメントが多数寄せられました。
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