菓子類は少量でもエネルギー量や脂質が多いものがあり、血糖コントロールを乱す原因となる。糖尿病の食事療法ではそうした菓子類を「好ましくない食品」として、なるべく摂取しないよう指導することが多いが、糖尿病ネットワークが今年の2月から3月に実施した調査によると、患者の半数は「毎日食べている」ことがわかった。
調査では、インスリンや経口剤治療に伴う低血糖対策としての補食以外にとるおやつ(甘い菓子・ケーキ・アイスクリームなどの嗜好食品)を「間食」と位置づけ、糖尿病患者と医療スタッフにそれぞれアンケート形式で聞いた。
禁止指導を受けても半数は「毎日とっている」
調査では、糖尿病患者の64%が間食を「日常的にとっている」と回答し、うち半数以上は「毎日とっている」と回答した。間食をとる頻度は「毎日1回程度」がもっとも多く全体の32%に上り、「2〜3日に1回程度」が19%、「毎日数回」が18%だった。通院している医療機関で間食を「原則禁止」と指導されている患者でも、47%が「毎日とっている」と回答した。
年齢別にみると、間食をとる人では年齢が高くなるととる回数が減る傾向が示された。40歳から60歳のいずれの年齢層でも半数以上が間食を毎日とっており、50歳代以下では1日に複数回以上とっているという回答が多かったが、60歳以上では「毎日1回程度」が42%ともっとも多くなった。
患者からの間食についての相談は多い
一方、医療スタッフでは、回答者全員が間食について質問や相談を受けた経験があり、その頻度は「毎日(1回もしくは数回)」が29%、「2〜3日に1回程度」が31%と、日常診療のなかで頻度の高い話題であることが示唆された。さらに、「間食」の指導(摂取方法や情報提供)について、7割が「糖尿病患者さんによっては重要であり、指導は必要」と回答。多くの医療スタッフが間食指導の重要性を認識していることがわかった。しかし、多くの医療スタッフは継続遵守の難しさを実感しており、6割が「指導を行っても患者さんがなかなか遵守しない」と回答した。
「原則禁止」としている医療施設は約3割に過ぎず、間食を一律に禁止するより、エネルギー量や摂食のタイミングなど制約をつけて許可することが食事療法を続けるうえで効果的と考える医療スタッフは増えていることが示された。湘南鎌倉総合病院糖尿病内分泌内科部長の浜野久美子氏は「糖尿病患者や予備群が成人国民のメジャーともなる現代において、“おやつ”を一律禁止して遵守させるのは現実的には難しい」としたうえで、「患者、医療者ともに科学的かつ納得のいく指針を築く必要がある」と述べてい
る。
糖尿病患者が「間食」を行うことの問題点(医療スタッフ n=138)
[ Terahata ]