新型インフルエンザの感染確認は5月20日現在、大阪、兵庫、滋賀の3府県に及び、感染者数は230人を超えた。関西地区を中心にマスクや手洗い用消毒剤、うがい薬の需要が急増し、品切れが相次いでいる。
感染拡大を防ぐための緊急対策
日本で初めて新型インフルエンザの感染が確認されたのは、感染地であるカナダに研修旅行に行った高校生の一行だった。学校で感染が拡大するおそれがあることから、感染者が在住している府県を中心に多くの学校が休校している。人が集まる場所で特に感染しやすいので、今週予定されていた催し物も多くが中止・延期され
た。
24日に大阪で開催が予定されていた「日本糖尿病協会総会および会議」や「日本糖尿病学会 市民公開講座」、31日に予定されていた「世界禁煙デー・大阪」などは中止・延期になった。「第52回日本糖尿病学会年次学術集会」は予定通り21日より開催されるが、参加者に注意が呼びかけられている。
新型のインフルエンザは、ほとんど誰もかかったことがなく免疫をもっていない。そのため、通常の季節性インフルエンザに比べて感染が拡大しやすく、多くの人がインフルエンザになるおそれがある。感染の拡大を防ぐための施策が急がれているのはそのため。
政府の専門家諮問委員会は5月16日に次のことを発表した
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- 新型インフルエンザの症状は、通常の季節性インフルエンザによく似ている。毒性はそれほど強くなく、海外では多くの患者が軽症のまま回復している。しかし、感染力が強いので、感染のさらなる拡大を防がなければならない。
- 抗インフルエンザ薬(タミフル・リレンザ)による治療が有効で、タミフルは国内に約3300万人分の備蓄がある。
- 海外では糖尿病など慢性疾患をもっている人で特に重症化した例が報告されている。感染しないようにする注意と、感染してしまった場合の適切な対応が求められている。
- 感染した場合は、医療機関では慢性疾患(基礎疾患)のある人が重症化しないようにすることが重要。また、軽症の患者では、自宅での療養、医療従事者の訪問、発熱外来への受診の徹底により、一般の患者と接触しないような工夫など、地域の実情に応じた対応を行う必要がある。
インフルエンザにかからないために
インフルエンザは、感染した人の咳、くしゃみ、つばなどとともに放出されたウイルスを吸い込むと感染することがある(飛沫感染)。また、感染した人がくしゃみや咳を手で押さえた後や、鼻水を手でぬぐった後に机やドアノブ、つり革に触ると、ウイルスが付着することがある。付着したウイルスに触れた後に目、鼻、口に再び触れると、粘膜・結膜などを通じて感染することがある(接触感染)。
厚生労働省では感染を拡大しないために次のことを呼びかけている
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- 必要のない場合は、特に人が集まる場所への外出を控える。
- 外出したらうがい、手洗いを行う。
- 発症したらマスクをして、感染が広がらないようにする。
- マスクだけでは感染を完全に防ぐことはできないので、お互いに距離をとるなど、他の感染防止の対策も行う。
本人や家族が新型インフルエンザにかかった場合の注意点として次のことを挙げている。
- 感染した可能性がある場合は、医療機関ではなく保健所などに設置される発熱相談センターに電話で問い合わせ、指定された医療機関で受診する。
- 医療機関を受診するときは、必ず電話で事前に連絡し、受診する時間や入口などについて問い合わせる。
- 受診する時はマスクを着用する。マスクがない場合は「咳エチケット」を心がけ、周囲に感染させないよう注意する。
- 電車、バスなどの公共の交通機関の利用は避け、できる限り自家用車などを利用する。適切な交通手段がない場合は発熱相談センターに問い合わせる。
- 感染が確認された場合は、入院して治療を受けることになる。
- 感染している可能性が高い同居者などは外出を自粛し、保健所へ健康状態を報告することが法律で定められている。また、状況に応じて抗インフルエンザ薬が配布されることがあるので保健所から説明を聞く。
関連情報
糖尿患者さん向けのインフルエンザ対策啓発ポスター(A4サイズのPDF)
[ Terahata ]