朝食や睡眠をしっかりとり、規則正しい生活や運動を習慣づけた子供は体力・運動能力が高い――全国の小中学校で運動時間や体力などの差が著しいことが、文部科学省がまとめた「2008年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」で分かった。
体力平均値は都道府県によって差がある
調査は昨年4月から7月にかけて、全国の小学5年生と中学2年生を対象に実施した。50メートル走や反復横跳び、ボール投げなど8種目の実技で、体力や運動能力を得点化した「体力合計点」を調べ、食事や運動の習慣などを尋ねた。国公私立のほぼ7割に当たる約2万3000校が参加。
8種目合計の平均値(公立)は、小学校男子54.18、小学校女子54.84、中学校男子は41.50、中学校女子48.38だった。平均値は都道府県で差がみられ、小学校では最高の福井と最低の高知との点差が男子で6.2点、女子で6.8点。中学校では男子は最高の千葉と最低の奈良で7.2点、女子は最高の千葉と最低の北海道で9.5点に差が広がった。
小中学生の過半数は1985年を下回っている
文部科学省は抽出調査で同様の調査を毎年行っている。今回の調査では、過半数の小中学生は体力がピークだった1985年の平均値を下回った。実施方法が同じ種目に着目したところ、小学校のソフトボール投げでは男子は85年より4.6メートル、女子は2.8メートル短く、小学校の反復横跳び以外は全種目で劣っている。
1週間の総運動時間で60分未満の割合は小学校が男子11%、女子23%、中学校は男子9%、女子31%だった。運動をする子としない子の二極化傾向があり、運動をほとんどしない子供も多い。1日2時間以上の運動を週3回以上している子供は体力合計点が高い傾向があり、小中とも運動部などやスポーツクラブの加入率は男子で80%以上、女子で70%以上になると平均点が大幅に高くなった。
1週間の総運動時間の分布
2008年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査
朝食をとらない子供も少なくない。朝食の摂取状況でも体力合計点との相関がみられ、毎日食べる子供は、それ以外の子供より体力合計点が高い傾向がみられた。朝食を毎日食べる子は、食べない子より中2男子2.9点、女子4.1点、小5男子3.6点、女子3.4点それぞれ高かった。テレビやテレビゲームの視聴時間が長い子ほど、体力合計点が低くなる傾向もみられた。
子供も生活習慣の改善が大切
今回の調査では、朝食を毎日食べ、睡眠を十分にとり、テレビやテレビゲームに時間を費やさず、1日2時間以上・週3日以上は運動する子供の方が、体力・運動能力は高い傾向があることが分かっ
た。
「週3日以上、かつ1日2時間以上の運動・スポーツ実施、かつ朝食を毎日食べる、かつ1日の睡眠8時間以上」を実施する割合が高いと体力平均値が高くなる。小学校男子では実施率が25%未満の学校では54.2、50%以上では57.5、女子では25%未満は55.4、50%以上は60.9、中学校男子では50%未満が40.6、80%以上は42.7、女子では50%未満が47.9、80%以上は52.3とそれぞれ高くなった。
平成20年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果について(文部科学省)
[ Terahata ]