血糖値や血圧値、コレステロールや中性脂肪などの血清脂質。これらの数値が検査で異常を示していたら、いまは「何でもない」と感じていても、何年かを経たときに大変なことになるかもしれない。かかりつけの医師によく相談して対策しておきたい。
糖尿病の治療を続けるのは、糖尿病合併症や、心筋梗塞や脳卒中などを予防するために必要だから。治療の柱になるのは食事療法と運動療法。
糖尿病患者では血管障害などがともなうことも多い。
運動を進めるときに、まず医師のメディカルチェックを受け、基礎体力、年齢、体重、健康状態などをふまえて運動量を設定したい。
インスリンや経口血糖降下薬で治療を行っている人では低血糖になりやすい場合がある。
血糖コントロールが良好でないときも要注意。必ず医師に相談を。
なかでも運動は習慣として続けることで血糖コントロールが良くなり、血圧値、コレステロールや中性脂肪などの脂質代謝の改善も得られる。さらに、運動により内臓の脂肪細胞が小さくなり、脂肪組織から産生されるアディポサイトカインなどのインスリンのはたらきを妨害する物質の分泌が少なくなる。このため、筋肉や肝臓での糖の消費が改善し血糖値が安定する。
糖尿病の人に勧められる運動は、短時間に筋肉を強く使う「無酸素運動」よりも、できるだけ全身の大きな筋肉を使用するウォーキング、水泳、自転車などの「有酸素運動」。運動により使われた筋肉が糖や遊離脂肪酸の利用を促進させる。
はじめは散歩など経度の運動から始め、徐々に強度や時間を増やしていき、目標として少なくとも週に3〜5回、できれば毎日、20分から60分、中等度(ややきつい)の強度の有酸素運動が、一般的に勧められている。
身体活動を増やすことから始める
ジョギングやエアロビクスやといった、本格的なスポーツを急に始めなければいけないというわけではない。身体活動を増やすことが「運動」になっている場合もたくさんある。ウォーキングで歩数を増やしたり、家事や庭いじりなど日常で体を使うことも運動になる。
日常生活で軽めの運動を増やすことで身体活動量は増やせる。ウォーキングを20分間行えば、バレーボールを同じ時間行うのと同じくらいの運動量になる。自転車を15分間こいだり、子供と遊ぶと、速歩を15分続けるのと同じくらい、階段の上り下りを10分間続けると、エアロビクスを10分行うのと同じくらいのエネルギーを消費する。こうした細切れの短い時間でも、1日に積み重ねていけば相当な運動量になる。
運動は続けるととだんだん楽しくなってくるもの。「忙しくて運動の時間がとれない」という人でも、家から駅まで歩いて10分、エスカレーターをやめて階段を上って5分といったように、体を動かす時間を少しずつ増やしていけば、やがて運動の効果があらわれてくる。
関連情報
日常での「まめな運動」が長寿の鍵 厚労省研究班(糖尿病NET)
糖尿病療養生活のポイント(日本糖尿病協会 関東甲信越地方連絡協議会)
[ DM-NET ]