インスリン療法を開始した患者の49.2%が
「もっと早く始めればよかった」と回答
DAWN JAPAN研究会(代表世話人:岩本安彦)は、インスリン導入時の心理的障壁について総合的に調査した日本で初めての科学的な実態調査である「DAWN JAPAN調査」を実施し、調査の結果の一部を5月26日に第49回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した。
インスリン療法が適応される患者であっても、さまざまな理由から治療の開始が遅れるケースが多い。同調査は医師、患者の双方を対象に、2型糖尿病患者の診療実態やインスリン治療の導入における主治医と患者とのコミュニケーションの実態を明らかすることで、インスリン治療開始の障壁となるものを軽減することを目的に行われた。
調査では、患者がインスリン療法を受容できない理由を医師が正確に把握・理解していない可能性が示された一方で、患者の側も治療についての理解が
十分でなかったり抵抗感をもっていることが分かり、双方の認識に一致しない点があることが治療の妨げになっていることが分かった。
インスリン注射についての調査では、「他人に知られるのが嫌」、「他人と違うことをするのが嫌」、「人前で注射を打つのは恥ずかしい」、「友達づきあいがしにくくなる」などの設問で、また、インスリンに関する不安については、「低血糖が怖い」、「家族に心配をかける」、「何か副作用があると思う」などの設問で、医師と患者のあいだに認識の差があり、医師は患者の不安感を過小評価している傾向があることが示唆された。
一方で、インスリン療法を実際に開始した患者では、インスリン自己注射の実施に関する不安感や、インスリン治療に対する否定的な感情は有意に改善し、49.2%が「より早く始めればよかった」と回答しており、患者がもつさまざまな不安感を特定した上でコミュニケーションを図ることができれば、適切な時期にインスリン療法を開始できる可能性があることが示唆された。
●DAWN調査に関する詳細は、ノボ ノルディスク ファーマ(株)の医療従事者向けサイト「dawnstudy.jp」(
www.dawnstudy.jp)で公開されている。
[ DM-NET ]