日本ベーリンガーインゲルハイムとアステラス製薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬が2型糖尿病患者の糖尿病性腎症の発症を抑制する効果を調べる臨床試験「INNOVATION」の計画について、医学雑誌「The Journal of International Medical Research」のサイトに掲載されたと発表した
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試験では日本人のみを対象に、2型糖尿病で高血圧症を合併する患者に血圧が正常な患者を含めて検討される。試験に使われたのはアンジオテンシンII受容体拮抗薬「ミカルディス」(一般名:サルタン)で、高血圧を改善し腎糸球体の保護する作用が期待されている。
INNOVATION試験は、2型糖尿病に伴う早期腎症(微量アルブミン尿が見出される状態)から顕性腎症へ進行するのを、ミカルディスが抑制する効果を調べる試験。昨年の10月末に終了しており、今後は国内の160施設で登録された1,855例から、主に微量アルブミン尿検査値によってスクリーニングした上で527例を選び、3群(ミカルディス40mg、80mg、プラセボ)に割付け治療効果が検討される。
微量アルブミン尿検査
糖尿病性腎症は、早期腎症から、蛋白尿を呈する顕性腎症を経て、腎不全へと進む。顕性腎症に移行した後では病状の進行を抑えるのが難しくなるので、早期発見と治療が重要となる。微量アルブミン尿検査は早期の腎症を発見するのに有効とされている。
微量アルブミン検査は、1型糖尿病、2型糖尿病の心血管イベントのマーカーにもなる。腎不全にまで病状が進んだ糖尿病患者は、脳心血管イベントを発症しやすいことが知られている。
日本透析医学会が実施した調査「わが国の慢性透析療法の現況」によると、1年間に糖尿病性腎症が原疾患となり新たに透析を始めた患者数は、2004年末時点で1万3,920人に上る。診断方法や技術の進歩により、透析患者数の減少につなげることが期待されている。
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詳細は日本ベーリンガーインゲルハイムのサイトへ(ニュースリリース)
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詳細は「The Journal of International Medical Research」のサイトへ(英文・要約)
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