目と健康シリーズ Eye & Health

2015年06月01日

盲点は、指摘されて気づくもの

リラックス アイ:盲点は、指摘されて気づくもの


 問題があるなんて全く考えずに順調に進んでいた計画が、大願成就を目前に、思いもよらぬミスを指摘され、あわてて最初からの仕切り直し。まさに「盲点を突かれた」と悔しがるこんな経験、あなたもありません? 人間一人で把握できる情報というのは、本人は完璧と思っても、結構落とし穴があるもの。他人〈ひと〉から見ればなんでもないようなことに、意外と気づいていないこともあるのでしょう。

「盲点」を辞書で調べると、(1)意外に気づかない点、という意味以外に、(2)視神経が眼球に入ってくる部分、という解説もあります。(2)は、医学的に視神経乳頭と呼ばれる部分を説明したものです。視神経乳頭は、網膜上の視神経が1カ所に集まり束になって眼球の壁(強膜)を突き抜けていく所で、眼底の中央やや鼻寄りに位置します。眼底写真で、周囲の網膜とくっきり区別がつく、薄い黄色の丸い部分です(こちらのイラスト・写真参照)。

 視神経乳頭には視細胞がないため、光を感知できません。そこに対応する視野は、マリオット盲点と呼ばれる暗点となり、どんな人にも必ず存在します(マリオットは17世紀のフランスの物理学者)。
 

 ここでちょっと実験してみましょう。左眼を閉じ、右眼で下の図の+印を見つめ、この図と目を、20〜25センチメートルぐらい離してみてください。それまで見えていた右側の白丸が、消えてしまったはずです。白丸の位置が、ちょうどマリオット盲点に入ったためです。

※ 図の左右の長さが10センチメートルに見える設定で


 マリオット盲点は、反対側の眼の視野にカバーされていたり、周囲の映像や記憶により情報が補足されることなどから、生活上その存在が問題になることはありません。ところが (1)の意味の盲点は、冒頭の話のように、突然そこを突かれてピンチを招く怖さがあります。こちらの盲点こそ、この実験のように、簡単に発見できる方法があればいいのですが…。

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