本コーナーでは、数多く発表されている海外の運動療法に関する事例から
安全かつ効果的に取り組むため、参考となる論文、リリース等を厳選し、
1分間以内に読める長さを目安に要約してお届けします。
高齢になるとなぜ最大心拍数が下がる?
高齢になると、最大心拍数(maxHR)が低下していく現象がみられる。そのため高齢者が運動をするときは、高齢に合わせて目標心拍数は低めに設定される。心臓では「自然のペースメーカー」である洞結節で生じた電気信号が心房筋に伝わり、これが心房・心室に伝わり収縮させることで拍動になる。高齢者では加齢にともないこの電気活動が押し下げらのが最大心拍数の低下の一因になっていると、米コロラド大学医学大学院の研究者は説明している。「高齢になると最大心拍数が低下するのは、加齢にともなう自然な現象です。しかし、運動療法を続けて、エアロビクス運動に取り組んでいると、心拍数の低下を抑えることができます。脈拍数をはかりながら行う運動にはメリットがあります」と指摘している。
WHY DOES MAXIMUM HEART RATE DROP WITH AGE?(コロラド大学 2013年10月15日)
インターバル運動は心肺機能を効果的に高める
高強度の運動と中強度の運動を交互に行う「インターバル運動」は、体力のない人でも効果的・安全に体力を高めることができると、米ボーリング・グリーン州立大学の研究者が発表した。19〜30歳の8人の男性と8人の女性にインターバル運動を行ってもらう実験を行い、トレッドミルで「4分間の速い歩行→1〜2分間の遅い歩行→4分間の通常の歩行」を4セット行う運動を続けてもらったところ、インターバル運動によって最大酸素摂取量、心拍数、筋力のいずれも効果的に改善されることを確かめた。「脈拍数をはかりながら、自分に合った強度の運動を続けることで、運動の効果をより高めることができる」と指摘している。
The benefits of interval training(ボーリング・グリーン州立大学 2013年9月30日)
脈拍測定を定期的に行い心臓病に対策
心臓病を予防するために、脈拍数を定期的に測定する方法が有効であることが、米国などの9,193人の高血圧患者を対象とした調査で明らかになった。安静時の脈拍数が毎分84回以上の人は、アテローム性動脈硬化症や不整脈のリスクが上昇し、心臓病による死亡率が上昇するという結果になった。米ワイルコーネル大学医学部の研究者は、「正常な心拍数は1分間に60〜80であり、これを超えるときは心臓病の危険性が上昇する。脈拍数は日内変動が大きく、加齢によっても変化する。異常がみられるときには適切な治療が必要となる」と指摘。家庭でも脈拍測定を定期的に行うことを勧めている。
Elevated Heart Rate Linked to Significant Risk of Death(ワイルコーネル大学医学部 2010年8月12日)
心臓病のリスクの高い人にも高強度の運動が勧められる
負荷の高い高強度の運動が、冠状動脈疾患(CHD)に対して保護的に働くことは多くの研究で確かめられているが、心臓病リスクの高い患者に対して、どのような運動が安全であるかを検討した研究は少ない。ノルウェイ科学技術大学の研究チームは、トレッドミルを使った運動で、心拍数が最大心拍数の75〜85%まで上昇する運動を続けると効果的だが、それ以上に上昇すると危険を伴うことを突き止めた。運動は負荷を高めながら行うのが効果的だが、「運動中にも脈拍数を測定しながら、運動が許容度を超えて激しくならないように工夫することが必要」と述べている。
Fit in twelve minutes a week(ノルウェイ科学技術大学 2013年5月29日)