One Minute 海外レポート

本コーナーでは、数多く発表されている海外の運動療法に関する事例から
安全かつ効果的に取り組むため、参考となる論文、リリース等を厳選し、
1分間以内に読める長さを目安に要約してお届けします。

自宅で運動 心臓リハビリテーションでも有利

心臓病の既往歴のある患者のリハビリテーションとして、脈拍数を測定しながら自宅で行う運動は効果的であると、ノルウェー大学の研究チームが発表した。心臓病のある90人の患者を対象に12週間の試験を行ったところ、病院でグループでの運動や、トレッドミルを使った運動に取り組んだ患者よりも、自宅で週2回運動した患者の方が、最大酸素摂取量は大きく改善した。強度が強めの運動と弱めの運動を交互に行うインターバル運動を、最大心拍数の85〜95%を超えないように調整しながら続けると効果的だという。「医療スタッフのいない自宅でも、安全・効果的に運動を行うことが可能です。自宅で運動に取り組んだ患者さんは、試験終了後も運動を行う頻度が高いことが判明しました」と、研究者は述べている。

Home-based exercise as cardiac rehabilitation(ノルウェー大学 2013年12月13日)

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週に1回の運動でも効果がある 運動強度を高める工夫が必要

60歳以上の女性が体力を高めるための運動は、週に1回でも効果があるという研究を、米アラバマ大学の研究チームが発表した。ただし、週1回では体重減少の効果を期待できず、効果を得るためには、有酸素運動と筋力トレーニングを取り入れた強度の高いしっかりとした運動をする必要があるという。週に1回の運動に取り組んだ女性に、通常の速度でウォーキング(時速4.8km)してもらい脈拍数を測定したところ、運動を始める前の脈拍数は毎分110拍だったが、16週間のトレーニングの後では毎分92拍に減少していた。運動の効果を高めるためには、脈拍数を測定しながら運動の強度を調整する工夫が必要だという。高齢者の運動指導でもっとも大きな課題となるのは、患者自身が積極的に参加し、その決定にそって治療を受けるというアドヒアランスだ。「運動をする日を週に3〜5日に増やすのが理想的ですが、それができないという患者は少なくありません。運動が苦手という患者であっても、週に1回であれば続けられるはずです」と研究者は述べている。

UAB study finds exercising one day a week may be enough for older women(アラバマ大学 2013年8月30日)

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運動をしている人は脈拍測定が必要

頻脈と平均寿命には深い関連がある。運動習慣のある人でも心拍数が高い人では、心臓病による死亡率が上昇するという調査結果を、コペンハーゲン大学病院が発表した。研究チームは、2,800人の男性を16年間追跡して調査した。その結果、安静時の心拍数が1分間に10拍増加すると、死亡率は16%上昇することが判明した。一般的に、運動を習慣的に行っている人は心拍数は減り、逆に運動不足の人は心拍数が増える。心臓病リスクの高い人は、運動時に脈拍チェックするだけでなく、安静時の脈拍数を知っていた方が良いと、研究者は指摘している。「運動や身体活動をする時間を増やして、座ったまま過ごす時間を減らすことで、心拍数は減り心臓病のリスクを下げることができます」とアドバイスしている。

Elevated resting heart rate, physical fitness and all-cause mortality(英国心臓学会 2013年4月17日)

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脈拍測定はストレス管理にも役立つ

緊張したり怒りなどの否定的な感情をもつと、心臓がドキドキし心拍数が増加する経験を誰もがもっている。脈拍を日常的に測定することが、ストレス管理にも役立つ可能性が示された。米カーネギーメロン大学の研究者は、112人の被験者を対象に、5桁の数字から7あるいは13を逆算していく煩雑な計算に取り組んでもらう実験を行った。時間制限をもうけ目標を達成するよう注文したところ、計算がうまくいかず、怒りや焦りを感じていた被験者の1分間の平均脈拍数は増加していた。「怒りや興奮などの感情をもっていると、判断力が低下し誤った選択をしてしまうことは、経験的によくあります。感情は脈拍数の増減に影響します。脈拍を測定しストレスやメンタル面の調子を知ることが有益です」と、研究者は述べている。

The Effects of Measuring Emotion: Physiological Reactions to Emotional Situations Depend on whether Someone Is Asking(プロスワン 2013年6月5日)

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2014年02月 更新 

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