East Club 通信  2008年度 第1号  通巻21号
2008年10月18日発行  
 

 2008年度第1号をお届けします。今回は、昨年度最後の勉強会、今年度最初の勉強会とサマーキャンプの報告です。East Club通信は皆さんの協力なくしては維持できません。積極的な投稿をお願い致します。

TM



2007年度最後の勉強会
 〜田嶼 尚子 先生にご講演いただきました〜

 

2008年度総会と最初の勉強会
 ―山田 学さんを囲んで―

 

ビッグニュース:副会長の安斎さんがガリクソン賞を受賞

 

2008年度サマーキャンプ
 〜今年は三崎で美味しい魚をいただきました〜

 

East Club 糖尿病教室
 〜血糖自己測定を血糖コントロールに役立てるコツ〜
 皆さん、血糖自己測定(Self Monitoring of Blood Glucose; SMBG)をしていますね。今回は、SMBG を血糖コントロールに生かすにはどうしたらよいか考えてみましょう。
 現在、1型糖尿病治療の標準的方法とされる強化インスリン療法は、インスリン頻回注射もしくはインスリンポンプを用いて、SMBG で得られた血糖値に基づき、患者自らが注射するインスリン量を調節して最善の血糖コントロールを目指す方法です。本題とそれるかもしれませんが、我が国は2型糖尿病が多い国であり、1型糖尿病は世界中でとりわけ頻度の少ない国であることは皆さんもご存じと思います。そんなわけで、この国の糖尿病専門医の中には、専門医とは言っても1型糖尿病のことをあまりわかっていない医師もいます。そうした、医師は強化インスリン療法を SMBG とインスリン頻回注射を両方指導すれば強化インスリン療法だと思っていることがありますが、これは、強化インスリン療法ではありません。強化インスリン療法では、患者さんが、インスリンの働きや SMBG で得られた血糖値を正しく解釈して、自分でインスリン量を調節できるようになり、生活にインスリンをあわせることができるようになることが大切です。そこで、今回は上手な血糖の測り方についてお話ししましょう。
 強化インスリン療法におけるインスリンの補充は健康人の生理的なインスリン分泌パターンを模倣することにあります。健康人では、何も食べていない、空腹の時にもごく僅かのインスリンが分泌され、これによって、肝臓が供給するブドウ糖の量を調整して血糖を一定範囲に維持しています。この、ごく少量のインスリンを基礎分泌と言います。食事をとって血糖が上がり出すと、スパイク様にインスリンが分泌され、上昇した血糖を正常に戻します。このインスリンを追加分泌と言います。強化インスリン療法では基礎分泌を中間型インスリン(ペンフィルNやヒューマログN)や持効型インスリン(ランタスやレベミル)で補い、追加分泌を毎食前の超速効型インスリン(ヒューマログやノボラピッド)もしくは速効型インスリン(ペンフィルRやヒューマカートR)で補います。SMBG は生活にインスリンをあわせるための基本データを得るための検査ですが、ただ、漫然と測っていてはしょうがありません。基礎分泌の注射量が適切かを知るためには、超速効型インスリンを使っている人ならば、一般に毎食前の血糖を測ることが必要です。食前の血糖に高いところがあれば、その理由は基礎分泌が足りないことが多いからですし、低すぎれば、基礎分泌が多すぎます(速効型インスリンを使っている方の場合はちょっと違います)。しかし、そう簡単ではありません。前の食時の時に注射した超速効型インスリンが足りないと、食後の血糖が上がってそのまま続いていることもあり得ます。一方、追加分泌が適切かどうかを知るためには、食前と食後の血糖を比較する必要があります。すなわち、良好な血糖コントロールのためには、食前だけでなく、食後の血糖を適宜測定する必要があるのです。コントロールが今一歩の人は、前日の就寝前からはじめ、翌日の毎食前・食後血糖、就寝前血糖を調べ、さらに翌朝の血糖を調べると、どこに問題がありそうかわかってきます。また、インスリン注射の達人になるためには、普段と違う食事や生活の時には食前・食後の血糖を測定する習慣を身につけ、自分の血糖の動きを理解していくことが必要です。そして、自己測定で得られた結果を主治医と検討して、どのようにインスリンを使ったらよいのか学んでいきましょう。インスリンの効き目は一人一人違います。それをわかるようにしてくれるのが SMBG です。
 なお、SMBG の回数と血糖コントロールには何ら関係は見いだせません。はじめは、回数多く測った方がよいですが、色々なことがわかってきたならば回数は少なくてもいっこうにかまいません。上手な SMBG のコツの1つに、血糖を予測して測ることがあげられます。血糖を測るときにいくつくらいか予測して測っているとだんだんあたるようになってきます。予測が外れるようになったら測る回数を増やすと良いと思います。また、HbA1Cが上がってきたときにも回数を増やして元の良好なコントロールに早く戻しましょう。
 いつも、この欄で書いていますが、1型糖尿病の治療の最も重要なポイントは皆さんがよく考え能動的に治療することです。医者はコーチ、選手は皆さんです。考えない選手、トレーニングをしない選手は好成績は残せません。SMBG で得られた血糖の意味を理解できるようになること、良好なコントロールを得るために必要なポイントで血糖を測れるようになること、必要な自己測定はきちんとすることが大切です。