East Club 通信2001年度 第1号 通巻 7号
発行日 2001.7.21  
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 昨年は、East Club 通信を発行することが出来ませんでしたが、East Club は順調に発展し、会員数も7月現在116名となりました。2000年度は雨のため恒例のバーベキューの会が流れてしまったことは残念でしたが、2回の勉強会(鈴木裕也先生、内潟安子先生の講演会)と Summer camp を行うことが出来ました。会員をはじめ他県からも多くの方に参加いただき、今まで以上に充実した活動ができた1年だったと思います。
 残念なことに、創立より会長として会の運営を一手に引き受けてくれていた佐々木秀樹会長が都合により会長を退任されました。後任に、安斉美佐子さんが会長に就任されました。また、指導医も本年度より佐々木望教授より事務局の丸山太郎先生が兼務されることになりました。長い間会長として会の発展に貢献してくれた佐々木会長に感謝したいと思います。
 今回の East Club 通信は、新旧会長のご挨拶と新しく発売される超速効型インスリンの豆知識などをお届けします。



 会長退任にあたって
           佐々木秀樹

 会長就任にあたって
           安斉美佐子


 指導医の交代について

 East Club 糖尿病教室 

 超速効型インスリン(リスプロインスリン)について

埼玉社会保険病院 丸山太郎

 皆さん、超速効型インスリン(リスプロインスリン)をご存じですか。リスプロインスリンは、欧米では5年以上前から速効型(R)にかわり糖尿病治療の主役になっているインスリンです。この新しいインスリンが、わが国でも本年9月頃から使えることになりました
 速効型インスリンにはいくつかの欠点があります。まず第一に、生理的なインスリン分泌パターンを得ることが出来ないこと、第二に食事の直前に注射できないことです。健康な人のインスリン分泌には基礎分泌と追加分泌があります。基礎分泌は空腹時にも血中にわずかに存在するインスリンで、栄発素の利用や肝臓におけるブドウ糖の産生を調節しています。追加分泌とは食物摂取後に生じるインスリンの分泌です。この、追加分泌は食事摂取と同時にはじまり、血糖が下がりだすときにはわずかしか残っていないものですが、現在の速効型インスリンは投与後ピークに達するまでに2時間以上かかり、さらには、効果が6時間も経続するため、生理的な追加分泌とは異なったものとなっています。そのため、患者さんによっては食後の血糖上昇を十分抑えることが出来なかったり、食後数時間たってから低血糖を起こしてしまいます。また、効き出すのに時間がかかるため、食前30分に注射しなければなりません。
 リスプロインスリンはこれらの欠点を解消するために開発されました。インスリンは注射液中では6量体といって6個のインスリン分子が結合しています。皮下に注射されたインスリンは、6量体が解離して一つ一つの分子にならないと吸収されません。このため、速効型では吸収に時間がかかります。リスプロインスリンは遺伝子組み替えによって、インスリンを構成しているアミノ酸の配列を変更し、6量体を形成しないようにしたものです。6量体を形成しませんから、インスリンは注射後直ちに吸収され、効果は長く持続しないようになりました。その結果、注射は食事の直前でも良いことになり、また、血糖が下がりだしたあとに効果が残らないため、低血糖を起こす頻度も少なくなりました。
 現在までの欧米における使用成績から、速効型をリスプロにすることによって、食後の血糖の低下と低血糖の減少が認められることが明らかにされています。リスプロに変更することによって、全ての患者さんのコントロールが良くなるわけではありませんが、血糖の乱高下の激しい患者さんや、夜間に低血糖を起こしやすい患者さんはコントロールが良くなる可能性があります。また、食事の直前に注射すれば良いということは、全ての患者さんにとって生活の質を高めることになると思います。30分待たなくてもいいのは大変便利なことと思います。外食の時などは、食事の内容を見てから、インスリン量を決めることが出来ます。また、食事の途中や、直後に不足分を追加することも容易になると思います。
 しかし、新しい薬剤には未知の副作用が無いとは言えません。現在まで欧米における5年以上の使用経験からは安全性は問題ないとされていますし、妊娠中に使用した場合も、従来の速効型を使用した患者さんよりも良好な妊娠経過が得られたことも報告されています。しかし、20年、30年後のことまでは誰にも分かりません。未知のデメリットを否定しきることは不可能なことを承知の上で(もっとも、現在使用しているインスリンもまだ20年使われていませんが)使ってもらえればと思います。
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