East Club 通信 前号  次号
1999年度 第1号    発行日 1999.7.21 (通巻5号)
 

 今年で「East Club」は4年目を迎え、会員数も昨年でぐんと増え、7月現在92名(女性72名・男性20名)の方が入会しています。98年度は計画通り、Summer Camp など、4回の会合を開催することができ、会員をはじめ他県から多くの方に参加いただき、今まで以上に充実した活動ができた1年だったのではないでしょうか。

 99年度 総会&勉強会


 
 East Club 糖尿病教室
糖尿病性腎症

埼玉医科大学第四内科 根岸清彦


【原因】腎臓は尿を作ったり、血液中の老廃物を尿中に排他する働きをしています。この老廃物を濾過するのが、糸球体と呼ばれるところで、いわばフィルターの役割をしています。糖尿病で高血糖状態が持続すると、糸球体の基底膜が厚くなり(フィルターの目が荒くなる)、体に必要なアルブミンや蛋白質までもが尿中に漏れ出てしまいます。さらに進行すると、血液中の蛋白質濃度が低下して、血管内の水分が皮下組織に貯留して浮腫を来します。この状態はネフローゼと呼ばれ、腎臓の排泄機能はかなり悪化し、血圧の上昇も著しくなります。また、コレステロールや中性脂肪も上昇します。そして、ついには腎臓のフィルターが目詰まりを起こして腎不全(末期腎症)に陥り、血液中の水分や老廃物が排泄されずに蓄積していきます。この状態に至ると人工透析によって、水分や老廃物を体外に排泄しなければならなくなります。
【症状】初期は無症状です。進行すると蛋白尿、高血圧、浮腫(むくみ)が出現し、末期には腎不全のため人工透析が必要となります。
【診断】尿蛋白や尿中アルブミンの定性・定量検査により、腎症の大まかな進行の具合を調べます。実際には、まず検尿(定性検査)で尿蛋白の有無を調べます。これで尿蛋白が陰性の場合は、尿中アルブミンの排泄についても調べます。尿中アルブミンが陽性の場合はその排泄量を測定します。この段階までであれば腎症があったとしてももかなり早期で、比較的軽度です。一方、尿蛋白が陽性の場合には、尿蛋白の一日排泄量を調べますが、多いほど腎症が進行していると判断されます。また尿検査と平行して、血中の尿素窒素やクレアチニン、腎臓の機能検査を行い、総合的に腎臓機能の評価を行います。
【治療】糖尿病性腎症は糖尿病による高血糖が原因で腎臓の機能が低下してくるわけですから、その治療はなんといっても血糖を厳格にコントロールすることに尽きます。実際、血糖コントロールを良好に保つことにより腎症の発症や進行を防ぐことができるという研究結果が多く報告されています。さらに、最近の研究では腎症により腎臓に相当な変化が起こっていても、長期間血糖を正常に近か付けるとその変化も回復することが報告されました。血糖コントロールのほかで大切なことは血圧も正常に保つことです。また、蛋白摂取量も腎症の進行と関係しますので、食事療法によって塩分摂取量や蛋白摂取量を適正化し、血圧が高くなれば、降圧薬などの薬物療法も行うことが必要となります。
【おわりに】
糖尿病性腎症はすべての糖尿病患者さんに起こるわけではありません。ただ、どの患者さんに起こりやすいのかは現在のところまだよくわかっていません。いま云えることは糖尿病の期間が長く、長期間血糖コントロールが悪く、高血圧もあり、家族歴で腎症のあるなどです。こういう患者さんでは腎症がおこりやすいので、要注意です。糖尿病性腎症はかなり早い時期から発見することが可能ですし、治療も可能です。

 糖尿病性腎症についてお話ししてきましたが、少しでも皆さんの糖尿病療養に役立てば幸いです。

☆根岸先生は98年度勉強会講師です

 

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