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Dr.鈴木の
おしえて!糖尿病

HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)を見直す 

動いていてわかりにくい血糖値
糖尿病になるとインスリンの効きが悪くなったり、膵臓からのインスリン分泌が減ったりして、血糖値がなかなか下がらなくなります。
 まず食後高血糖という食後の高血糖が起こり、さらに進むと数値が低いとされる食前血糖値あるいは空腹時血糖値も含めて常に高血糖という状態になります。
 高血糖が続 くと身体中の細胞が栄養過多になり、5年、10年と時間をかけて、網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化など様々な重篤な糖尿病合併症につながることが知られています。この頃は認知症も糖尿病と関係があるという見解が強くなっています。

しかし血糖値は変動が激しく、比較検討が難しく評価しにくい臨床検査値です。
  そこで比較しやすい空腹時血糖を使うとか、一定量のブドウ糖(あるいは相当品)を飲み、30分、1時間、2時間後の血糖値を測るブドウ糖負荷試験(OGTT)が行なわれていました。
 そこに、血糖値の細かな日内変動の影響を受けにくい検査法HbA1cが登場したのです。

糖尿病網膜症
ゆっくり変化するHbA1c血液中にはいろいろな働きをする血球成分(白血球、赤血球、血小板など)が流れていますが、赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質が酸素濃度の高い肺で酸素と結合して身体中の細胞に運んでいます。
 このヘモグロビンがブドウ糖濃度に合わせてとてもゆっくりとブドウ糖を捕まえたり離したりしているのです。ブドウ糖を捕まえ たヘモグロビンをグリコヘモグロビンと呼び数種類が知られています。

その中でブドウ糖の濃度によく対応して測定しやすいとして選ばれたのがHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)です。HbA1cは検査日以前1〜2 ヵ月の平均血糖値を反映しているといわれます。
 血糖値全体が上がるとHbA1cは1 ヵ月ほどかけてゆっくり上がってきます。下がるときも同じようにゆっくり変化してきます。実際にはもっと細かで複雑な血糖値の変化にゆっくり追従しています。
 HbA1cは糖尿病の病状の中長期的な変化を見るのにとても便利で、測定の再現性もよく、多数の患者さんの比較にも適しています。

糖尿病と診断する検査値としてもHbA1cの重要度が高まり、各国で開発と普及が進みました。ところが国によって基準値がずれているという問題がでてきました。
 国際的な基準を決め、それに合わせる協議が行われ、日本はHbA1cの数値を約0.4%高くすることになったのです。

国際標準値(NGSP)に合わせる
従来日本で使っていたHbA1c値はJDS値です。この数年間のものには(JDS)と表記されていますが、それ以前の数値は表記がなくてもJDSと考えてください。
 日本糖尿病学会は2012年4月1日から日常診療で国際標準値(NGSP)への移行を開始しました。国は検診保健指導などに関して2013年4月1日から移行します。
 しばらくの間HbA1cがNGSP値かJDS値か注意してください。JDS値からNGSP値に変わると約0.4%数値が高くなります。激しい変化をする検査値ではありませんから、個人個人の数値は日付で並べて比較すれば整理できる と思います。
 グラフなどを作っている場合はNGSPに移行したところで、それ以前については値に0.4%を加えてグラフの線などを引き直おすといいでしょう。
 糖尿病と診断されるHbA1c基準値は6.5%(NGSP)です。これからの検査値では(NGSP)の表記のないものが増えてきます。

日本糖尿病学会の血糖コントロール指標と評価は、現段階では従来の基準値に0.4%加えた数値に変更され、優6. 2%未満(NGSP)、良6.2〜6.9%未満(NGSP)、可(不十分)6.9〜7.4%未満(NGSP)、可(不良)7.4〜8.4%未満(NGSP)、不可8.4%以上(NGSP)になり、原則目標と評価に変更は起こりません。
 世界的な治療目標値については高齢者の基準を別枠にしようなどいろいろ議論が続いています。やがては我が国の治療目標値も判りやすく覚えやすい数値に落ち着くのではないかと思います。

<追記>
 2013年6月1日から、日本糖尿病学会の「血糖コントロール指標と評価」が新しい「血糖コントロール目標」に変更されました。

合併症予防のために、多くの患者さんにおける血糖管理目標をHbA1c7%未満

・適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合の目標をHbA1c6%未満
・低血糖などの副作用、その他の理由で治療が難しい場合の目標をHbA1c8%未満

 とし、シンプルで覚えやすいHbA1cの治療目標値になりました。

(2013年06月)
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記事内容は公開当時のものです。ご留意ください。
治療や療養については、かかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。
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