HealthDay News

2021年01月21日

脳の老化防止策は謎ときパズルだけでない、AHAニュース

 認知機能の衰えは、歳を重ねる上で人々に最も恐れられている問題の1つだ。人々はそれを防ぐために、記憶力を高めると宣伝されているサプリメントを試したり、クロスワードパズルと何時間も格闘したりする。しかし、それらは本当に脳の老化を抑制するのだろうか? カナダの神経内科医で脳の健康の領域で世界的に著名なVladimir Hachinski氏は、「脳を鍛えることは、それはそれで良いことだ。しかし期待し過ぎないでほしい」と語る。

 米疾病対策センター(CDC)によると、60歳以上の米国人の8人に1人が少なくとも記憶力低下を感じており、そのうち約35%の人が脳の働きに何らかの問題を持っているという。それが必ずしも本格的な認知症につながるというわけではないが、認知機能の低下に苦しんでいる高齢者は増加傾向にある。CDCは認知症の有病者数が2060年までに、現在のほぼ3倍、約1400万人になると予測している。

 認知機能の低下を防ぐ可能性が科学的に示されている介入法は、確かに存在する。しかし、魚油サプリメントや"頭の体操"はそれに含まれていない。その一方でHachinski氏を含む研究者は、まず心臓を保護する戦略と同じステップを踏むべきだとする。そのような立場をとる研究者の1人、米テキサス大学サウスウエスタン医療センターのRong Zhang氏は、「高血圧、喫煙、肥満、運動不足など、心臓に悪い危険因子は何であれ、脳にも悪い」と語る。

 心臓と脳の健康の関連性は、多くの研究から明らかになっている。米国心臓協会(AHA)や専門家グループは、心臓病と脳卒中の危険因子に焦点を当てるよう提言している。血圧、血糖値、血清脂質の管理、十分な睡眠、禁煙、節酒、健康的な食事、週に少なくとも150分の運動、体重管理、社会的活動の継続などだ。最近はこれらに、頭部外傷の予防や大気汚染の回避も追加された。

 これらの危険因子を修正することにより、認知症の少なくとも40%を予防、または発症を遅延できる可能性がある。Hachinski氏は、脳卒中の予防が達成できれば、さらに認知症予防効果が高まると期待している。同氏によると、脳卒中は認知症リスクを2倍に高めるが、その脳卒中の多くは血圧の管理で抑止できるという。

 血圧と並ぶ主要なリスク因子は2型糖尿病であり、認知症発症を60%増加させる。しかしその2型糖尿病も、体重管理と身体活動を増やすことで予防または発症の遅延が可能だ。「認知症の発症は、概して緩徐なものだ。症状が現れるのを先延ばしするためのさまざまな方法がある」とHachinski氏は言う。

 Hachinski氏は認知症発症を遅らせる最良の方法を、「自分自身に当てはまるリスク因子を理解し、その中で影響の大きいリスク因子から順に改善を図ること」だと解説する。最初に解決を図るべきリスク因子は、ある人にとっては減量であり、別の人にとっては運動量を増やすことかもしれないし、糖尿病の人であれば血糖管理かもしれない。

 一方、Zhang氏は、「脳は多くのエネルギーを使用し、その過程でゴミのように蓄積する余分なタンパク質を処理している。しかしゴミがあまりにも多過ぎると、脳が傷ついてしまう」と語る。それに対して、運動をすることが脳の中でのこのようなクリアランスの助けとなり、脳を休めるための良い睡眠にもつながると解説する。

 「中年期ともなると、認知症のリスクは加速度的に上昇し始める。どの段階からでも"手遅れ"ということはないものの、対策は早いほど良い。最も重要なことは、予防のための行動を、若いうちに始めることではないだろうか」とHachinski氏は語っている。

[American Heart Association News 2021年1月21日]

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[ Terahata ]

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