HealthDay News

2020年10月08日

糖尿病の寛解で膵臓サイズも元に戻る

 肥満糖尿病患者が減量した場合などに、インスリン抵抗性の改善とともにインスリン分泌も回復して、機能的治癒(寛解)状態に至ることはよく知られている。しかし今回、そのような機能的な回復にとどまらず、小さくなっていた膵臓が元の大きさに戻るという、器質的な変化も生じ得るとする研究結果が発表された。研究の詳細は、英ニューカッスル大学のRoyTaylor氏らが、欧州糖尿病学会(EASD2020、9月21日~25日)で報告した。

 2型糖尿病は、世界中の成人の11人に1人(約4億1500万人)が罹患しており、現在も増加し続けている。発症後は一般的に、生涯にわたる血糖管理が必要とされる。これまでのMRIなどの画像検査を用いた研究から、2型糖尿病患者では、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌する膵臓のサイズが小さく、膵臓表面の境界が不規則になっていることが知られている。しかしそのような変化が病状とどのように関連するのかについては、明らかにされていない。

 Taylor氏らは、2型糖尿病患者64人に対する治療介入の前後で、膵臓の形態がどのように変化するかを観察した。研究開始時点の糖尿病患者の膵臓体積は、非糖尿病の対照群(年齢、性別、BMIを一致させた64人)の80cm³に比較して約20%小さく、また膵臓の境界が不規則だった。

 5ヵ月間の減量による膵臓体積の変化は、寛解群では減量前63cm³、減量後64cm³、非寛解群は減量前59cm³、減量後60cm³で、寛解の有無にかかわらず有意な変化は見られなかった(寛解の定義はHbA1c6.5%未満かつ空腹時血糖126mg/dL未満)。

 ところが2年後の膵臓体積は、寛解群は76cm³とベースライン値の約5分の1の増大が認められた。一方で非寛解群は64cm³で、約12分の1の変化にとどまっていた。また、膵臓内の脂肪量は、非寛解群の約0.5%減に対して、寛解群では約1.6%減とより大きく減少しており、臓器の境界も鮮明になっていた。加えて、寛解群ではインスリン産生細胞(β細胞)の機能回復が認められたが、非寛解群では変化が見られなかった。

 Taylor氏らは以前にも、長期にわたり血糖正常状態を維持するとインスリン分泌が回復するという研究結果を発表している。その発表以降、一部の専門家からは、「その状態は単に血糖値が十分に管理されているだけであり、糖尿病の原因は解決されていない」と指摘されてきたという。それに対して今回の研究は、「膵臓のサイズと形状が回復するという新たな知見であり、膵臓が正常な状態に戻ったことを証明する説得力のあるエビデンスだ」と同氏は述べている。

 今回の研究に資金を提供した英国糖尿病学会のElizabeth Robertson氏も、「この研究結果は画期的であり、2型糖尿病の捉え方に革命をもたらす。一連の新しい発見は、寛解のメカニズムをより正確に理解する上で役立つ」と解説。ただし、「寛解に至る患者とそうでない患者の違いは何かなどの疑問が残されており、引き続き精力的な研究が求められる」と語っている。

 なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。

[HealthDay News 2020年9月30日]

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[ Terahata ]

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