HealthDay News

2020年02月24日

"ソーダ税"で加糖飲料の消費が減り、医療財源が拡大

 米国のシカゴ市などがあるイリノイ州クック群では、肥満対策として2017年に加糖飲料への課税が実施された。"ソーダ税"と呼ばれたこの課税制度により、実際に加糖飲料の消費が減少し、かつ公衆衛生の財源が増加したという報告が、「Annals of Internal Medicine」2月25日オンライン版に掲載された。

 ソーダ税は加糖飲料1オンス(約30mL)当たり1セント(約1.05円)で、2017年8~11月に実施された。この間の加糖飲料の販売量を、隣接するミズーリ州セントルイスと比較すると、27%減少していたことがわかった。ソーダ税の税収は6200万ドル(約65億円)に上り、うち1700万ドル(約18億円)近くが郡の医療財源に充てられた。なお、課税期間中は住民の一部が州境を越えセントルイスで加糖飲料を購入したため、セントルイスでの販売量が増加していた。その影響を調整すると、クック群での販売量減少幅は21%だった。

 主任研究者である米イリノイ大学シカゴ校のLisa Powell氏は、「このエビデンスは、課税が市民の加糖飲料摂取を減らすための効果的な政策ツールであることを示唆している」と述べている。

 同氏によると、加糖飲料の摂取量は低所得者層で多く、健康への負荷がより大きいという。そして低所得であれば価格上昇の負担が強いため、高所得者より加糖飲料の購入量が減少し、健康面のベネフィットはより大きくなる。「ソーダ税は、税制上は高所得者に有利な'逆進的'であるが、健康面では'累進的'である」と同氏は語る。

 では、健康面のベネフィットはどのくらい期待できるのだろうか。米ニューヨーク大学医療センターの臨床栄養士であるSamantha Heller氏によると、加糖飲料の摂取量は肥満や2型糖尿病、心疾患、腎疾患、虫歯、痛風との強い関連が認められるとした上で、「加糖飲料は、味はともかく栄養から見ればカロリーが高いばかりで実質的な価値がない。ほかの飲み物を選択できるのに、子どもや家族、自分自身が慢性疾患に罹患するのを望むのか?」と疑問を投げかける。

 課税により加糖飲料の消費が減れば、肥満の減少とさらには2型糖尿病などの慢性疾患の有病率の低下が期待される。ただし、ソーダ税によって慢性疾患のリスクが低下するか否かについてはデータが不十分であり確証はない。「これらの疾患は長い年月をかけて発症するため、ソーダ税の影響を調べるには何年もの月日がかかる」と同氏は述べている。

 Powell氏は、「人が何を飲むかを決めるのは政府の役割ではない。しかし政府は、消費者が加糖飲料やタバコなどを過剰消費するような、エコノミストが'市場の失敗'と呼ぶ社会的に望ましくない状況を是正する役割がある」と述べ、「喫煙に対しては課税がその役割を果たしてきた」と語っている。

 なお、クック郡のソーダ税は導入後に住民や業界団体によるロビー活動が激しくなり、施行から4カ月の短命で終わった。

[HealthDay News 2020年2月24日]

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[ Terahata ]

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