HealthDay News

2020年01月13日

SGLT2阻害薬で痛風リスクが低下する可能性

 血糖降下薬であるSGLT2阻害薬により痛風のリスクが低下する可能性が、トロント大学(カナダ)のMichael Fralick氏らが実施した新たな研究から示された。詳細は「Annals of Internal Medicine」1月14日オンライン版に発表された。

 SGLT2阻害薬を使用している人では、他の血糖降下薬(GLP-1受容体作動薬)を使用している人と比べて、痛風を発症するリスクが36%低かった。Fralick氏は「SGLT2阻害薬は2型糖尿病患者にとって最も効果的な薬剤の1つであり、痛風のリスク低減につながる可能性もある」と述べている。

 SGLT2阻害薬は、成人2型糖尿病患者に使用される血糖降下薬としては比較的新しいクラスの薬剤である。この薬は腎臓に作用し、体内の糖を尿とともに体外へ排出する。薬剤の名称(一般名)としては、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなどが該当する。

 2型糖尿病の人は血中の尿酸値が高いことが多い。その状態が長引き、尿酸の結晶が関節に蓄積すると痛風を引き起こす。痛風の症状はまず足の親指に現れることが多く、激しい関節痛や腫れを生じる。米国では数百万人が痛風に罹患しているとされる。

 今回の研究は、SGLT2阻害薬またはGLP-1受容体作動薬を新たに処方された約30万人の2型糖尿病患者(平均年齢54歳)を対象に実施された。その結果、SGLT2阻害薬を処方された約15万2,000人のうち636人が痛風を発症した。一方、GLP-1受容体作動薬が処方された約14万4,000人のうち、痛風を発症したのは836人だった。1,000人年当たりの罹患率は、SGLT2阻害薬4.9、GLP-1受容体作動薬7.8であり、SGLT2阻害薬がハザード比0.64で有意に低かった。

 このように血糖降下以外の作用が見られたSGLT2阻害薬だが、リスクが全くないわけではない。米食品医薬品局(FDA)は同薬に、骨密度の低下や骨折リスクの増加に関する警告表示を義務付けている。また重篤な感染症や下肢切断のリスクが増加するとの報告があることも明らかにしている。

 米ニューヨーク州に拠点を置くノースウェル・ヘルスの家庭医療部門副責任者であるBarbara Keber氏は今回の研究について、解釈上の制限はあるものの大規模で比較的質の高い研究だと評価している。その一方、「痛風リスクのある患者に対し、そのリスクの低減を目的として日常診療でSGLT2阻害薬を使用するには、さらなる研究が必要である」と指摘している。

 前出のFralick氏はこの研究を実施した当時、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の薬剤経済学部門に所属していた。同氏は、「自分が診察している2型糖尿病患者の一人一人について、常にリスクとメリット、薬剤コストを比較検討している。SGLT2阻害薬は非常に高額ではあるが、低血糖や体重増加を来すことがない。かつ今回の研究データから、痛風患者や痛風リスクの高い人では、SGLT2阻害薬によってそのリスクが低下する可能性が示された」と述べている。

[HealthDay News 2020年1月13日]

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[ Terahata ]

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