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「スマートコンタクトレンズ」で眼の健康管理が可能に?
2019年12月
 将来、眼科医は、患者が眼に装着したコンタクトレンズ型のウェアラブルデバイスを用いて眼の健康状態を管理するようになるかもしれない――。そんな「スマートコンタクトレンズ」の実現を感じさせる初期段階の研究の結果を、蔚山科学技術大学校(韓国)教授のSang-Young Lee氏らが「Science Advances」12月6日号に発表した。

 Lee氏らは今回、視力障害の兆候をモニタリングしたり、点眼薬の投与を助けたりすることを目的として、微小な電子回路とバッテリー、アンテナを搭載したソフトコンタクトレンズを作製。その試作品をウサギとヒトに使用する概念実証(proof of concept;POC)研究を実施した。

 Lee氏によると、スマートコンタクトレンズは視力の矯正と同時に電子デバイスを作動させる役割も担う。また、理論上、このようなデバイスを用いて涙液を継続的にスクリーニングすることで、緑内障や糖尿病などの兆候を早期に捉えられるようになるという。なお、このスマートコンタクトレンズは、装着した時に眼に刺激を感じたり、熱による不快感や視野障害が生じたりしないように、一般的なソフトコンタクトレンズと同じくらい小型で、柔軟性があるように作製された。

 それを可能にしたのが、「直接インク書き込み法(direct ink writing)」と呼ばれる最先端の3Dプリント技術だ。この技術によりコンタクトレンズの外縁に超極薄のペーストで複数の微小な電子回路が重なっている層を追加。ペーストの部分はミニチュア版のエネルギー貯蔵システムとして働く「固体スーパーキャパシタ(蓄電器)」になるという。このキャパシタがあるおかげで常にワイヤレスで充電でき、コンタクトレンズの外縁まで張り巡らされた超極細繊維のナノファイバーに電力が供給される仕組みになっている。

 「最終的にはかさばらず、硬くもなく、余計な熱も放出しないスマートコンタクトレンズが完成した」とLee氏は説明。また、「1週間にわたって涙液に曝露しても、内蔵した電子回路の機能に問題はなかった」としている。

 では、安全性には問題はないのだろうか? 今回の研究では、ウサギとヒトで、このコンタクトレンズを10分間装着した時の装着感とワイヤレスでの充電システムの機能を検証した。その結果、眼の充血などの不快感の兆候は全く認められなかった。また、ヒトの実験では視野に制限がないことが報告された。

 ただし、Lee氏らは、現時点の安全性の評価に関しては限界があるため、大規模な臨床試験も今のところ予定していない。そのため、このスマートコンタクトレンズが実用化するのはかなり先になる見通しだ。

 専門家の一人で、米国眼科学会(AAO)スポークスパーソンのThomas Steinemann氏は「この研究には将来性がある」と話す。同氏は「これまでにもウェアラブルデバイスの領域では、スマートコンタクトレンズの開発研究が進められてきた。眼の変化をリアルタイムで捉えられる効果的な電子コンタクトレンズが開発されれば、失明に至る可能性がある眼疾患の発見や予防に革新的な方法がもたらされるかもしれない」と述べ、大きな期待を示している。

[HealthDay News 2019年12月10日]

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