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ハリケーン被災後に死亡リスク上昇、日頃の災害対策が重要
2019年10月
 ハリケーン被災後の最初の1カ月は、高齢の糖尿病患者の死亡リスクが40%上昇していたとする報告が、「Diabetes Care」9月23日オンライン版に掲載された。米南フロリダ大学のTroy Quast氏らの研究によるもの。

 Quast氏らが着目したのは、2005年8月にルイジアナ州に上陸したハリケーン・カトリーナと、同年9月にやはりルイジアナ州に上陸したハリケーン・リタ。ハリケーンの強さを表すカテゴリーはどちらも最高レベルの5。カトリーナでは約1,800人が犠牲になり、150万人が避難を強いられた。リタでは、約120人の犠牲が報告されている。

 研究グループはメディケアのデータを用いて、被災地に住んでいた約17万人の糖尿病患者と、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州、アラバマ州で被害を受けなかった地域に住む糖尿病患者とを比較する、症例対照研究を実施。その結果、被災した高齢患者は被災1カ月以内の死亡リスクが約40%高かった。また被災直後だけでなく10年後までの死亡リスクも6%近く高いことがわかった。特にハリケーンの後に転居を余儀なくされた高齢者で死亡率が高かった。

 Quast氏は、「ハリケーン被災直後に死亡率が上昇した。その傾向は年々弱まったが、10年経過しても依然として認められた」とし、その理由について、糖尿病医療や透析を受けられなかったり、健康的な生活習慣を取り戻しにくかったことなどが関係している可能性があると考察している。

 同氏は糖尿病患者のハリケーン対策として、「インスリン治療を受けている患者は、まずインスリン入手経路を確保することが第一」と述べている。また、健康的な生活習慣を維持することも重要で、「インスリンや透析が必要な人は、ハリケーンが来る前にどのような支援が利用可能か確認しておくことも大切」と指摘している。

 インスリン・フォー・ライフ(IFL)USAのディレクターで糖尿病災害対応連合(Diabetes Disaster Response Coalition;DDRC)共同議長のCarol Atkinson氏は、事前準備が最も重要だと強調している。例えば、インスリンは持ち出しやすい場所に保管し、避難時には保冷バッグに入れて持っていく。ただし「インスリンは通常は冷蔵保存が必要だが、室温でも1カ月は問題ない」という。

 そのほか、持ち運びやすい防水容器に糖尿病グッズ(血糖測定器、試験紙、インスリンポンプ用品、ブドウ糖、水、スナック、糖尿病機器用電池など)を入れておくことを勧めている。さらにそれらの有効期限が切れないように、非常持ち出し用品を定期的に入れ替えることも大切だとアドバイスしている。

 DDRCは、非常時の持ち物のチェックリストをウェブサイトで公開しており、処方箋のコピー(可能であれば防水のためラミネート加工を施す)、処方薬を購入するための現金(災害時にはATMが使えず、クレジットカードも使えないことがあるため)を準備しておくことなどを推奨している。またIFLは災害被災地に、インスリンや注射器、試験紙をはじめとした医療資材を提供する活動を行っている。

[2019年10月11日/HealthDay News]

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