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ヒト細菌叢の遺伝子、その半数は個人に固有のもの
2019年09月
 米ハーバード大学医学大学院とジョスリン糖尿病センターの研究グループがヒトの口腔および腸管内に存在する細菌の遺伝子解析を行ったところ、約半数は宿主である個人に固有のものであることが明らかとなった。詳細は、「Cell Host & Microbe」8月14日号に掲載された。

 研究グループは、ヒトの腸管内(試料数約2,100)および口腔内(同1,400)から採取された細菌の遺伝子を解析。その結果、これらの試料には約4600万(腸管内2,200万、口腔内2,400万)の細菌遺伝子が含まれていることが明らかになった。そしてその半数以上を占める2300万の細菌遺伝子は、一度しか発現していなかったことから、個人固有の細菌遺伝子と考えられた。この一度しか発現していない「シングルトン」と呼ばれる遺伝子は、抗生物質に対する耐性獲得などの特異な機能を担う傾向があるという。

 ヒトの細菌叢を構成している細菌の大半は無害であり、かつ多くは有益だが、中には疾患を引き起こすものもある。近年、細菌叢が健康に大きな影響を与えていることを示すエビデンスが集積されつつある。体内や体表面の細菌の種類や数の変化により、例えば虫歯、糖尿病、さらには慢性炎症性腸疾患や多発性硬化症に至るまで、さまざまな疾患が引き起こされ、その病態に影響を及ぼすことが明らかとなっている。

 これまでの研究は、さまざまな種類の細菌がどのように疾患リスクに影響を及ぼすかを検討したものが主流だが、今回の研究はこれらの細菌における遺伝子を解析している。著者らはこの研究により細菌叢の遺伝子と疾患との関係が明らかとなり、個別化治療の開発につながる可能性があると展望している。筆頭著者である同大学院のBraden Tierney氏は、今回の研究を「遺伝子の違いが細菌の作用にどのように関与し、疾患リスクを変えるのかを解明するための長い道のりの第一歩」と位置付けている。

 共著者の1人、同大学院バイオメディカルインフォマティクスのChirag Patel氏は、「きょうだいでも遺伝的には同一ではないように、2つの菌株が遺伝的に全く同じということはない。同じ菌株でも遺伝子の構造が大きく異なる可能性があり、菌種に関する情報を解析するだけでは、遺伝的変異によりもたらされる重大な違いを見失いかねない」と指摘している。

 別の共著者であるジョスリン糖尿病センターのAlex Kostic氏は、「これらの細菌遺伝子の構造を解明することで、個人に特有の細菌遺伝子に基づいて、より精密に的を絞り込んだ治療の実現につながる可能性がある」と述べている。
[2019年8月14日/HealthDay News]

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