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慢性疾患を持つ子どもたちも日々の生活を楽しんでいる
2019年09月
 慢性疾患を持つ子どもたちは、そうでない子どもたちと比較し生活に不満を抱いているわけではないという報告が、「Pediatrics」5月6日オンライン版に掲載された。研究を主導した米ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のCourtney Blackwell氏は、「この知見は、『健康とは何か』を考える上で視野の拡大を促すものだ。病気だからといって、直ちにその子どもたちが不健康であるわけではない」と述べている。

 今回報告された論文は、米国の小児1,253人の親への調査結果をまとめたもの。調査対象となった5~9歳の子どもたちの20%が、喘息、呼吸器アレルギー、アトピー性皮膚炎、てんかん、炎症性腸疾患(IBD)などの消化器疾患、注意欠如多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム障害、うつ病、不安障害の少なくとも1つを有しており、肥満や低出生体重も含まれていた。集中的治療が必要な消耗性疾患の子どもは除外されていた。

 子どもの生活への満足度を評価する標準的調査票を用いて親に質問した回答を分析すると、慢性疾患を持つ子どもと持たない子どもとで結果に差は認められず、同程度に生活に満足していることが分かった。ただし、本研究では慢性疾患を持つ子どもたちを1つのグループとして解析していることから、Blackwell氏によると「どの疾患が生活の満足度に大きな影響を与えるかは不明」という。この点に関連し、本報告のレビュー者である米ニクラウス小児病院のRose Alvarez-Salvat氏も、「今回の研究の対象に集中治療を受けている子どもを含めていたら、結果は違っていたかもしれない」と述べ、疾患により満足度が異なる可能性に触れている。

 Alvarez-Salvat氏は日常的に、1型糖尿病、嚢胞性線維症、がん、血友病など連日のケアが必要な小児を診察しており、「このような疾患が不安障害やうつ病につながる場合もある」と述べている。また、本研究の対象が5~9歳の子どもであったことにも触れて「自分で疾患を管理し、ほかの子どもとの違いを自覚する年齢まで成長しないと、生活の質(QOL)の問題は明らかにならない」とも指摘している。ただし、もちろん同氏も慢性疾患を持つ子どもたちの人生が悲観的だとするのではなく、「現在では、病気であるということはその子ども、その人の人生の単なる一部分に過ぎず、かつてのように病気によって人生が大きな影響を受けるものではない」とコメントしている。

 また本研究では、子どもの疾患の有無にかかわらず、世帯収入が高いほど子どもの幸福感が強まり、ストレスが多いほど幸福感が弱まるという関係が認められた。このことからAlvarez-Salvat氏は、「慢性疾患のある子どもも含め、家庭でのストレスを減らすことが幸福感の増大につながる」と述べている。

 子どもを持つ親がとるべき具体的な対策の1つとしてBlackwell氏は、「もし子どもの幸福感に健康問題が影響を及ぼしていると感じたなら、援助を求めるべきだ」と述べ、「医師は疾患の治療に注意を注ぎがちなので、親は医学的な治療だけでなく、子どもの精神的・情緒的な健康について相談してよい」とアドバイスしている。
[2019年5月6日/HealthDay News]

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