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魚油サプリメントに糖尿病の予防効果なし
2019年08月
 これまでの研究で長鎖ω-3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む魚油サプリメントが糖代謝を改善し2型糖尿病を予防する可能性が報告されているが、今回それを否定する研究結果が報告された。英イーストアングリア大学ノーウィッチメディカルスクールのLee Hooper氏らによるこの研究の詳細は、「British Medical Journal」8月21日オンライン版に発表された 。

 研究グループでは、1960年代から2018年までに発表されたPUFAに関する論文のシステマティックレビューを実施。介入期間が24週間以上のランダム化比較試験を検索した結果、83件(被験者数12万1,070人)の論文が抽出された。抽出された論文の大半は長鎖ω-3脂肪酸の有効性を検討したものだった。長鎖ω-3脂肪酸はサケなどの脂肪分の多い魚に含まれるほか、魚油サプリメントとして摂取されることが多い。本研究では、食品またはサプリメントを通して摂取されたPUFA(主として長鎖ω-3脂肪酸)の効果をメタ解析した。

 解析の結果、PUFAによる2型糖尿病の発症予防効果は認められなかった(新規診断の相対リスク1.00)。また糖代謝関連指標の全てにおいて、群間差がほとんど見られなかった〔HbA1cの平均差-0.02%、空腹時血糖値の平均差0.04mmol /L(0.72mg/dL)、空腹時インスリン値の平均差1.02pmol/L、インスリン抵抗性を表すHOMA-IRの平均差0.06〕。さらに、PUFAの摂取量や摂取期間によりサブグループ化して検討しても、有効性が認められたグループはなかった。

 これらの結果を踏まえHooper氏は、「この検討結果は確定的であり、魚油サプリメントに糖尿病の予防効果はない」と結論付けている。なお、魚油サプリメントの摂取ではなくPUFA含有量の多い魚そのものを多く食べている場合の効果については、解析に十分なデータを得られず評価できなかった。また、もともとPUFAの摂取量が少ない人がサプリメントを摂取した場合の効果についても、データ不足のため評価できなかった。

 Hooper氏らの研究グループは過去の研究で、魚油サプリメントによる心疾患や脳卒中、早期死亡のリスク低下は認められないことも報告してきた。ただし同氏は、「心疾患に関与する中性脂肪値を低下させるという点では、魚油サプリメントは有用」としている。

 一方、サプリメントの摂取量上限については、今回の研究から1日当たり4~5gを超える高容量の長鎖ω-3脂肪酸摂取が糖代謝の悪化と関連する可能性が示されたことから、同氏は「一般にサプリメントは安全と思われているが、潜在的な悪影響を避けるため、魚油サプリメントの摂取は1日4.4g未満とすべき」と提言している。

 今回の報告に関連し、米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センターのJoel Zonszein 氏は、「サケのような魚は健康的でバランスの取れた食事の一部として良い選択肢になり得るが、魚油サプリメントだけで糖尿病を改善できるというエビデンスは得られていない」と述べた上で、「糖尿病は多くの合併症につながる恐れがある深刻な疾患であり、一度糖尿病を発症したら適切な管理が必要だ」と治療の原則を強調している。
[2019年8月21日/HealthDay News]

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