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糖尿病患者の心不全リスクは男性よりも女性で高い
2019年07月
 糖尿病はさまざまな慢性合併症を引き起こすが、少なくとも心不全に関しては、男性に比べて女性でリスクが有意に高いことが、新たな研究により示唆された。このリスク差は、1型糖尿病でより顕著であるという。研究を行ったニューサウスウェールズ大学ジョージ国際保健研究所(オーストラリア)の大隈俊明氏は「糖尿病は男女双方において心不全リスクを高めるが、リスクは男性に比べ、女性で有意に高いことが示された」と述べている。研究結果の詳細は、「Diabetologia」7月18日オンライン版に掲載された。

 今回、大隈氏らは、論文データベースを用いて1966年1月~2018年11月に発表された、糖尿病と心疾患との関連を調べたコホート研究論文を探索し、基準を満たした14件の論文を抽出。1200万人以上(約320万人が1型糖尿病)から成る47コホートを対象にメタ解析を行った。

 その結果、心不全リスクは、糖尿病のない人に比べ、1型糖尿病の女性で5.15倍、男性で3.47倍であり、女性は男性に比べ47%リスクが高いことが判明した。より患者数が多い2型糖尿病の場合、心不全リスクは糖尿病のない人に比べ、女性で1.95倍、男性で1.74倍に上り、女性は男性に比べ心不全リスクが9%高かった。

 心不全は、心筋梗塞とは異なる。心筋梗塞では、冠動脈が詰まるか細くなることで心臓へ血液が行き届かず、酸素不足となって心臓の一部が損傷を受ける。一方、米国心臓協会(AHA)によると、心不全は、心臓のポンプ機能が低下して効率よく血液を送り出せなくなり、全身に血液と酸素が十分にいきわたらなくなった状態のことをいう。

 なぜ、女性の糖尿病患者で心不全のリスクが増大するのか。大隈氏らは、今回の研究は因果関係を証明するようにはデザインされていないとした上で、可能性のある説明をいくつか挙げている。例えば女性では、糖尿病の治療が不十分であること、高血圧などの他の心疾患リスク因子が男性に比べて多い可能性があること、高血糖に曝露される時間が男性に比べて長いことなどが関連している可能性があるという。大隈氏によると、女性は前糖尿病状態が男性よりも2年長いことが、別の研究により報告されている。

 AHAのスポークスパーソンも務める米State of the Heart CardiologyのJohn Osborne氏は、「女性の診断はいまだに難しい。この研究では、女性の前糖尿病期間は男性よりも長かった」と述べ、この診断の遅れが心疾患リスクの差につながった可能性を指摘している。

 では、糖尿病の女性、とりわけ1型糖尿病の女性が心疾患のリスクを下げるためにはどうすればいいのか。論文の共著者である英オックスフォード大学ジョージ国際保健研究所のSanne Peters氏は、「心不全の予防には、健康的な生活習慣、高血圧、糖尿病、心血管疾患の管理のすべてが重要だ」と話し、まずは糖尿病にならないようにすることも有益だと付け加えている。Osborne氏もPeters氏と同意見で、「正しい食生活、定期的な運動、禁煙。これらすべてが心疾患予防に重要だ」と述べている。
[2019年7月19日/HealthDay News]

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