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80年以上、1型糖尿病と共に生きるある患者の物語
2019年07月
 Don Rayさんが1型糖尿病と診断されたのは1939年のことで、まだ4歳だった。医師たちは両親に、10代までは生きられるだろうと言った。10代に入る頃までに、1型糖尿病の管理は大きく進歩した。すると、医師たちは30歳代まで生きられるだろうと予測した。その後、その予測は50歳代に延長した。85歳を迎えた現在、Rayさんは81年間、1型糖尿病と共に生きている。

 Rayさんは、「長生きできたのは、何よりも両親や妻のサポートのおかげ。それに、〝やればできる″という私自身の心構えも大きい」と述懐する。幼い頃は、鬼ごっこも、自転車やブランコに乗ることも、休み時間に外に出ることも、体育館で遊ぶことも、ルートビアを飲むことも禁じられた。「〝ダメ″とばかり言われるのは、本当にフラストレーションのたまることだった」とRayさんは振り返る。だが、やがて糖尿病の決まり事にのっとって遊ぶことを覚えた。糖尿病にコントロールされるのではなく、糖尿病をコントロールできるようにするためだった。「糖尿病にコントロールされるようになったら大変なことになる」とRayさんは語っている。

 1型糖尿病では、自己免疫によりインスリンを産生する細胞が破壊される。十分な量のインスリンが産生されないと、細胞にブドウ糖が取り込まれないため高血糖状態になる。そのため、1型糖尿病患者はインスリンを補う必要がある。

 現在では、1日に数回インスリン注射を行うか、皮下に留置されたチューブを通してポンプでインスリンを補充できる。Rayさんはインスリンポンプを使って血糖値を調整している。しかし、彼が1型糖尿病と初めて診断された当時、シリンジはガラス製、針は純銀製で、使用後は煮沸消毒が必要だった。血糖値の測定も手間がかかり、現在の血糖測定器や持続血糖測定器とは程遠いものだった。

 11歳のときに運動制限が解除されると、Rayさんはスポーツに打ち込むようになった。85歳になった今も、できるだけ活動的に過ごすことを心がけている。食べるものについては常に慎重で、アルコールやデザートを楽しむときも、グラス1杯のお酒を飲みほしたこともなければ、パイを1切れ食べきったこともない。11月には1型糖尿病と共に80年間生きたことに対し、表彰を受けることになっている。

 Rayさんの主治医である米クリーブランド・クリニックのBetul Hatipoglu氏は、「おそらく遺伝子にも恵まれているが、自分の持てるものでベストを尽くそうとする彼の姿勢は素晴らしい」と評している。同氏によると、今日、1型糖尿病患者にはさまざまな管理ツールが用意されているものの、健康的な食生活と運動が極めて重要であることに変わりはないという。

 米ニューヨーク大学ランゴン・ヘルスのMichael Bergman氏によると、同氏が医師になった頃、1型糖尿病の人の寿命は、糖尿病ではない人よりも10~15年短かったという。だが、現在では、両者の寿命はほとんど変わらない。これについて同氏は、「寿命が延長したのは、糖尿病や合併症の管理が向上したことが大きい。自己管理能力が向上したのに加え、コレステロール低下薬の積極的な使用や良好な血圧コントロール、腎不全リスクを低減する薬物療法などにより、1型糖尿病患者の状況は大きく変わった」と説明している。
[2019年7月10日/HealthDay News]

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