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妊娠初期の葉酸摂取で妊娠高血圧腎症リスクは低減しない?
2018年09月
 妊娠初期(8〜16週)に高用量の葉酸を摂取しても、妊娠合併症である妊娠高血圧腎症(preeclampsia)を予防できないことが大規模なランダム化比較試験で示された。詳細は「BMJ」9月12日オンライン版に掲載された。

 妊娠20週以降から分娩12週までの間に高血圧になることを妊娠高血圧症候群と呼び、このうち肝機能や腎機能障害、神経障害、血液凝固障害、胎児発育不全も伴う場合を妊娠高血圧腎症という。これらの妊娠合併症は母体と胎児の双方に悪影響を及ぼし、妊婦死亡ともなり得る。その治療は分娩が第一選択だが、対症療法として降圧治療も推奨される。

 一方、ビタミンB群の一種である葉酸は細胞の成長を助ける働きを持ち、二分脊椎症などの神経管閉鎖障害と呼ばれる胎児の先天異常の予防を目的に、妊娠を計画する女性や妊娠第1トリメスターの妊婦に葉酸摂取が推奨される。これまで妊娠中の高用量の葉酸摂取が妊娠高血圧腎症の予防にも有効とする研究も報告されているが、その結果は一致していない。

 オタワ病院(カナダ)のMark Walker氏らは今回、5カ国70施設で登録された妊娠高血圧腎症のリスク因子を有する女性2,460人を対象に、プラセボ対照二重盲検のランダム化比較試験を実施した。リスク因子は、妊娠前からの高血圧や糖尿病、妊娠高血圧腎症の既往、双胎妊娠、BMI 35以上の肥満のいずれか一つ以上と定義した。全ての対象者には、妊娠期間を通して最大1.1mgの葉酸を摂取できるとした上で、妊娠8〜16週に高用量(1日4mg)の葉酸を摂取する群(1,144人)とプラセボを摂取する群(1,157人)にランダムに割り付けて比較検討した。

 その結果、妊娠高血圧腎症の発症率は、プラセボ群の13.5%に対し、高用量の葉酸摂取群では14.8%と両群間で有意差は認められないことが分かった(相対リスク1.10、95%信頼区間0.90〜1.34、P=0.37)。また、死産率は葉酸摂取群で1.1%、プラセボ群で1.9%と両群間で有意差はみられず、その他の母体や胎児の有害な転帰に関しても両群間で差は認められなかった。

 専門家の一人で米オレゴン健康科学大学のAaron Caughey氏は「妊娠高血圧腎症リスクが高い妊婦に対しては、小児用アスピリンを処方する場合が多い。また、最近の研究では糖尿病治療薬のメトホルミンが妊娠高血圧腎症のリスク低減に有用とする報告もあるが、今後さらなる研究が必要である」と指摘している。また、同氏によると、妊娠高血圧腎症のリスクを低減するためには計画的な妊娠が重要であり、妊娠する前に減量したり、妊娠中の体重増加について医師に相談し、その指示に従うことを勧めている。

 Walker氏の研究チームは、今回の研究に参加した女性から生まれた子供を6年間追跡し、高用量の葉酸が児の健康や脳の発達に影響するかどうかを調べる予定であるという。また、同氏は、妊娠高血圧腎症の発症には遺伝要因のほか、環境面や免疫系の問題が関与している可能性があることを指摘しつつ、「最終的な解決策は個々の患者に合わせた適切な薬物療法になるだろう」と述べている。

Folic Acid Won't Curb Dangerous Pregnancy Complication
Abstract/Full Text
Effect of high dose folic acid supplementation in pregnancy on pre-eclampsia (FACT): double blind, phase III, randomised controlled, international, multicentre trial

[2018年9月13日/HealthDayNews] Copyright© 2018 HealthDay. All rights reserved.

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