〔このコーナーは医療スタッフ対象です〕
循環器ドクターのためのグリコアルブミン(GA)活用法

田中 逸 先生
(聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科 教授)


目次


4. GAと動脈硬化  〜エビデンスを中心に〜
 近年、GAが動脈硬化の進展を把握するのにすぐれていることを示唆する以下のような報告が増加しており、私どもも次のような報告をしました。

頸動脈IMTとGAの関連
 当院の糖尿病入院患者510名(平均年齢61.2歳、HbA1c9.5%(NGSP)、GA27.4%)の頸動脈IMTを測定し、1.1mm以上の群(45名)と未満の群(465名)に二分し、IMT肥厚に関連する因子を検討したところ、年齢(IMT正常群 vs IMT肥厚群の順に、60.3 vs 70.6歳, p<0.0001)とGA(26.9 vs 30.6%, p=0.0137)、および血糖日内変動(1日10回のSMBGの最大値と最小値の差。139.6 vs 176.0 mg/dL, p=0.0156)の3項目で群間に有意差が認められ、HbA1cはその他の因子と同様に有意差がありませんでした(その他の因子:性、BMI、SMBGでの平均血糖、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、LDL-C、HDL-C、TG)。

 次に、この対象をHbA1c、GA、血糖日内変動のそれぞれの中央値で群分けし、IMTの実測値との関係を群間比較したところ、図2(a)に示すように、HbA1cが中央値(8.7%,NGSP)以下の群で、GAと血糖日内変動が有意にIMT肥厚に関係していることがわかりました。また、LDL-C高値群と低値群では、HbA1c高値・低値にかかわらず、IMTに有意差は認められませんでした。

 この結果から、比較的血糖が良好な状態において、HbA1cでは把握できない血糖変動をGAは捉えることを示唆しているのではないかと考えています。16)
        16)加藤ら, 日本臨床生理学会誌, 41, 2011

図2 IMTの平均値とGA、HbA1c、G-spikeの中央値の分布
 
♯ P値;対応のないt検定
〔加藤ら、日本臨床生理学会誌 41. 2011 より一部改変〕

GAと動脈硬化に関する国内外からの報告
 我々の施設以外からも、GAと動脈硬化の関連について、国内外から報告されています。その一部を以下に列記します。

2型糖尿病で冠動脈3枝病変を有する患者は2枝病変以下の患者に比べてGAが有意に高い
Pu LJ et al., Circ J 71, 2007
糖尿病患者のアテローム血栓性脳梗塞の発症前にはGA/HbA1c比が上昇している
吉田ら 糖尿病合併症25巻Suppl.1, 2011
2年後の頸動脈IMT肥厚の進行をGA値から予測可能
Song SO et al., Atherosclerosis 225, 2012
一般住民を対象とした検討において、GAは高感度CRPや頸動脈IMT肥厚度と関連する
Furusyo N et al., Int J Cardiol 167, 2013
2型糖尿病患者の頸動脈プラークの存在はGAと関連がある
Sato Y et al., J Diabetes Investig 4, 2013
慢性完全閉塞(CTO)を伴った2型糖尿病患者において、GAの上昇と側副血行路の形成不良の間には有意な関連がみられた
Shen et al., Cardiovascular Diabetology 12, 2013
冠動脈CT施行患者において、GAはHbA1cよりbaPWVやCAC(冠動脈石灰化)スコアと強く相関する
則松ら、日本高血圧学会総会プログラム・抄録集36回, 2013

次は ▶ ▶ 5. 血糖変動への介入の実際とGAの可能性

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※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わされるようになりました。過去のコンテンツの一部にはこの変更に未対応の部分があります。