〔このコーナーは医療スタッフ対象です〕
循環器ドクターのためのグリコアルブミン(GA)活用法

田中 逸 先生
(聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科 教授)


目次


1. はじめに
 糖尿病医療の進歩を手短に振り返ると、その歴史は1型糖尿病に象徴される顕著な高血糖による急性合併症からの救命に始まります。インスリンの発見によりそれが達成された後は、糖尿病に特異的な慢性合併症(細小血管症)を抑制することを命題としてきました。高い血糖値をできるだけ下げるという地道な努力の積み重ねによって、現在国内では糖尿病患者が急増しているにもかかわらず、糖尿病腎症による透析導入件数がプラトーに達し、糖尿病網膜症による視覚障害は減少しており、細小血管症の増加はどうにか歯止めがかかったようにみえます。

 それに対し近年、糖尿病に特異的ではないものの糖尿病を伴う動脈硬化性疾患(大血管症)が増加していることは周知のとおりです。多くの循環器科の先生方も、血糖管理を含めて危険因子の治療にあたっていただいていると思います。例えば、高血圧や脂質異常症といったリスクファクターを有する患者さんの軽度な糖代謝異常、あるいは心血管イベント発症後に糖尿病と診断された患者さんなど、日常でよくみることでしょう。

細小血管症と大血管症(動脈硬化性疾患)抑制のための血糖管理に
 今なにが必要か?
 「細小血管症の抑制」にヘモグロビンA1c(HbA1c)や空腹時血糖を指標とした血糖管理が有効であることは、糖尿病学が築いてきた確かなエビデンスに裏打ちされています。しかしながら、動脈硬化性疾患抑制のための血糖管理には、空腹時血糖やHbA1cを指標とする治療を、そのまま適用しても満足のいく結果を期待できないことが、2型糖尿病を対象に実施されたACCORD1)、ADVANCE2)など、近年行われた複数の大規模臨床試験で明らかになりました。

 動脈硬化性疾患の抑制には、食後高血糖や低血糖を極力回避する血糖管理も必要であることが想定されています。そのための血糖管理の評価に必要な新たな指標の確立が求められています。
        1)Gerstein HC, et al., N Engl J Med 358, 2008
        2)Patel A et al., N Engl J Med 358, 2008

次は ▶ ▶ 2. 動脈硬化性疾患抑制における血糖管理のポテンシャル

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※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わされるようになりました。過去のコンテンツの一部にはこの変更に未対応の部分があります。