第2章 子どもたちのこころとからだと糖尿病のある生活
2.糖尿病とともにある子どもたち―学童―
(2)どう支える?子どもたちの糖尿病のある生活―学童期―
糖尿病と女性のライフサポートネットワーク
井出 薫
(埼玉県立小児医療センター 糖尿病看護認定看護師)
学童期では、学校など家庭の外の活動が多くなり、生活の変化に対応する自己管理能力が試される時期となります。小学校低学年では自己注射手技を獲得し、学校での自己注射が可能になるようご家族と一緒に練習していきます。この時、『自分一人でできる』と自信を持ってもらうことが大切です。
焦らず確実に自己注射ができるようみんなで支えていきましょう。そして、子どもたちの自立も含めて、様々な経験をするという点では、サマーキャンプの参加はとても有意義なものとなります。機会があれば、参加をしてみましょう。
学校に伝えたい内容については表1に示します。具体的な内容は個々それぞれ変わりますが、例を紹介します。
まず、糖尿病の発症後に学校に入学するときや、入学後に糖尿病を発症した際には、担任の先生や養護教諭、校長先生へ説明をします。病気のこと、インスリン注射や血糖測定など治療のこと、低血糖のことなど、詳しく説明します。学校への説明は、ご家族が説明をして理解をしてもらうこともあれば、治療を担っている病院の医師から直接説明することもあります。
給食時の注射は保健室で行う子どもたちが多いようです。時にはオープンの子どももいて教室で堂々と注射をする子どももいます。補食や血糖測定は状況によりますが、保健室へグルコースを預けておき低血糖を感じたら行く、予防として休み時間に保健室で補食を摂る、ポケットにグルコースを入れておいて先生に伝えて教室で摂るなど様々な対応をします。低血糖に対して、なかなか自分から声がかけられない、友達に知られたくないから我慢するといったことも時としてあります。ご家族も、学校の様子や友人との関係など、担任の先生と連絡を取りながら、医師や看護師にも相談してください。
子どもたちは、病気や治療に対して、友人との関係など個々それぞれの思いを持っています。クラスの友達みんなに話をする子もいれば、誰にも伝えたくない子もいます。特に、他の児童への説明は子どもの思いを大切にしていきましょう。
最初はだれにも伝えたくないと話していたお子さんが、仲の良い子に伝えると、 学校の行事や学校外の交流で楽になった、注射も外でできるようになったと話す子どもたちもいます。その一方で、話したことで友達からいろいろ言われて落ち込んだなど、話したことで友達との関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。
学校でオープンにできるかは、クラスの雰囲気が良い状態か、本人が病気を自分のものとして捉え、きちんと対応できているかという点が重要です2)。これについては、病気の発症時から様々な経験を積むことで子ども自身も変化していきます。ご家族は、学年が上がるときやクラス替えの時に子どもの思いを確認する機会を作ることも大切なことでしょう
もちろん、友達と楽しい給食の時間です。しっかり食べてください。学校での給食は重要な栄養源です。学校でインスリン注射ができるようになったら、忘れずに注射をすること。インスリンの量については、主治医と相談しながら、ごはんの量や内容で家族と決めていきましょう。主治医の許可もあり、インスリンの量を調整することができれば、おかわりも禁止ではありません。
大丈夫。参加できます。参加してください。しかし、そのためには、血糖測定やインスリン注射、低血糖の対応や物品の管理が子ども自身でできることが必要になります。そのうえで、旅行期間の行事内容や時間設定など情報を得て、インスリンの量の調整を医師に相談をしておきましょう。そして学校の担任の先生や養護教諭に協力を仰ぎ、注射の場所等の調整をしてもらいましょう。このような体験は、子どもにとって大きな自信につながり一段と成長していきます。これらを経験することで、家族から子どもへ自己管理を徐々に移行させていくきっかけにもなります3)。
発症した時期が1歳でも、時がたてば成長し大人になります。診療科も小児科ではなく、内科になります。これは、とても大切なことです。大人になっても、小さい子どもたちのいる診察室に通うのは恥ずかしいですよね。内科に移ることで、子どもではなく立派な一人の大人として診ていくこととなります。内科へ移る時期は血糖コントロール状態や子ども達の気持ち(自立心の程度など)にもより、年齢で区切ることは難しいことですが、中学校卒業時や高校卒業時、就職など、生活環境が変わる時期に小児科から内科へかわっていくことが多いようです4)。
焦らず確実に自己注射ができるようみんなで支えていきましょう。そして、子どもたちの自立も含めて、様々な経験をするという点では、サマーキャンプの参加はとても有意義なものとなります。機会があれば、参加をしてみましょう。
学校に伝えたい内容については表1に示します。具体的な内容は個々それぞれ変わりますが、例を紹介します。
まず、糖尿病の発症後に学校に入学するときや、入学後に糖尿病を発症した際には、担任の先生や養護教諭、校長先生へ説明をします。病気のこと、インスリン注射や血糖測定など治療のこと、低血糖のことなど、詳しく説明します。学校への説明は、ご家族が説明をして理解をしてもらうこともあれば、治療を担っている病院の医師から直接説明することもあります。
給食時の注射は保健室で行う子どもたちが多いようです。時にはオープンの子どももいて教室で堂々と注射をする子どももいます。補食や血糖測定は状況によりますが、保健室へグルコースを預けておき低血糖を感じたら行く、予防として休み時間に保健室で補食を摂る、ポケットにグルコースを入れておいて先生に伝えて教室で摂るなど様々な対応をします。低血糖に対して、なかなか自分から声がかけられない、友達に知られたくないから我慢するといったことも時としてあります。ご家族も、学校の様子や友人との関係など、担任の先生と連絡を取りながら、医師や看護師にも相談してください。
子どもたちは、病気や治療に対して、友人との関係など個々それぞれの思いを持っています。クラスの友達みんなに話をする子もいれば、誰にも伝えたくない子もいます。特に、他の児童への説明は子どもの思いを大切にしていきましょう。
最初はだれにも伝えたくないと話していたお子さんが、仲の良い子に伝えると、 学校の行事や学校外の交流で楽になった、注射も外でできるようになったと話す子どもたちもいます。その一方で、話したことで友達からいろいろ言われて落ち込んだなど、話したことで友達との関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。
学校でオープンにできるかは、クラスの雰囲気が良い状態か、本人が病気を自分のものとして捉え、きちんと対応できているかという点が重要です2)。これについては、病気の発症時から様々な経験を積むことで子ども自身も変化していきます。ご家族は、学年が上がるときやクラス替えの時に子どもの思いを確認する機会を作ることも大切なことでしょう
もちろん、友達と楽しい給食の時間です。しっかり食べてください。学校での給食は重要な栄養源です。学校でインスリン注射ができるようになったら、忘れずに注射をすること。インスリンの量については、主治医と相談しながら、ごはんの量や内容で家族と決めていきましょう。主治医の許可もあり、インスリンの量を調整することができれば、おかわりも禁止ではありません。
大丈夫。参加できます。参加してください。しかし、そのためには、血糖測定やインスリン注射、低血糖の対応や物品の管理が子ども自身でできることが必要になります。そのうえで、旅行期間の行事内容や時間設定など情報を得て、インスリンの量の調整を医師に相談をしておきましょう。そして学校の担任の先生や養護教諭に協力を仰ぎ、注射の場所等の調整をしてもらいましょう。このような体験は、子どもにとって大きな自信につながり一段と成長していきます。これらを経験することで、家族から子どもへ自己管理を徐々に移行させていくきっかけにもなります3)。
発症した時期が1歳でも、時がたてば成長し大人になります。診療科も小児科ではなく、内科になります。これは、とても大切なことです。大人になっても、小さい子どもたちのいる診察室に通うのは恥ずかしいですよね。内科に移ることで、子どもではなく立派な一人の大人として診ていくこととなります。内科へ移る時期は血糖コントロール状態や子ども達の気持ち(自立心の程度など)にもより、年齢で区切ることは難しいことですが、中学校卒業時や高校卒業時、就職など、生活環境が変わる時期に小児科から内科へかわっていくことが多いようです4)。
表1 学校に伝えたい主な内容
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日本小児内分泌学会糖尿病委員会 こどもの1型糖尿病ガイドブック 患児とその家族のために1) |
引用・参考文献
- 1)日本小児内分泌学会糖尿病委員会編:こどもの1型糖尿病ガイドブック 患者とその家族のために.文光堂,東京,2007,92‐98
- 2)井上龍夫他:1型糖尿病お役立ちマニュアルPart1(第3版)インスリンとともに生きる,日本IDDMネットワーク.P14-15.2009.
- 3)青野繁雄:1型糖尿病と歩こう“この子”への療養指導.医学書院.東京.P15-16.2003.
- 4)荒木栄一編:小児・思春期糖尿病の対応マニュアル.中山書店.東京.P222-223.2012.
(2016年03月 公開)
目 次
第1章 基礎講座編
1. 糖尿病と女性のからだ
- (1)月経周期に合わせて血糖って変動するの?
- (2)月経と血糖のふか〜い関係って?
- (3)えっ?月経不順と糖尿病って関係あるの?
- (4)知っておいてほしい月経の正常・異常
- (5)知ってた? 月経周期に合わせた血糖コントロールのコツ
- (6)女性の一生には特有の身体とこころの変化があるということ〜糖尿病患者と一括りにされるのではない、糖尿病と共にある「女性」なのです〜
- (7)「産む性」だからこそ考えなければならない、糖尿病とともに生きること
2. あなたと私のための糖尿病基礎講座
- (1)糖尿病ってどんな病気?
- (2)糖尿病の治療とわたしの生活 〜食事〜
- (3)うまい血糖コントロールは合併症を防ぐ!
- (4)いつもの検査…これってどういう意味?〜そこがわかれば自分の体がもっとわかる〜
- (5)身につけよう〜セルフモニタリング力〜Part1
- (6)身につけよう〜セルフモニタリング力〜Part2
- (7)身につけよう〜セルフモニタリング力〜Part3
第2章 子どもたちのこころとからだと糖尿病のある生活
1.糖尿病とともにある子どもたち―幼児―
2.糖尿病とともにある子どもたち―学童―
3.糖尿病とともに大人の女性への階段を登る―思春期―
- (1)「思春期って!どう関わったらいいの?って困ったこと、一度はありますよね!?
- (2)女性への階段を上る〜からだはどう変化していくのでしょうか?
- (3)女性への階段を上る〜こころはどう変化していくのでしょうか?
- (4)女性への階段を上る〜恋愛、学校、自分の将来…
- (5)どう支える?子どもたちの糖尿病のある生活―思春期―
第3章 大人の女性として(青年期)“女性が知っておいた方がいいことって?”
第4章 女性が生命を繋ぐその瞬間(とき)に〜妊娠・出産編
第5章 大変だけど、楽しい。子育てまっ最中の時に
第6章 次の世代を見守りながら育む時を(どう)過ごすか
第7章 看護職の方々へ
1. さあ、看護職者の出番です!
- (1)糖尿病と妊娠の医療の狭間〜内科スタッフは妊娠・出産が苦手?
- (2)糖尿病と妊娠の医療の狭間〜産科スタッフは糖尿病が苦手?
- (3)糖尿病と妊娠に関連した様々なできごとは日々の日常生活の中で起こる〜これこそまさに看護職者の出番です
番外編 明日からの糖代謝異常妊婦のケアを考えよう
- 第34回糖尿病妊娠学会学術集会教育講演(PDF)
糖尿病看護認定看護師青木 美智子