第2章 子どもたちのこころとからだと糖尿病のある生活
2.糖尿病とともにある子どもたち―学童―
(1)学童期のこころとからだ

糖尿病と女性のライフサポートネットワーク
井出 薫
(埼玉県立小児医療センター 糖尿病看護認定看護師)

学童期  学童期は小学校入学から卒業にかけての時期で6歳から12歳の時期をさします。小さな体でランドセルを背負う小学校1年生と思春期の入り口に立つ6年生では体の大きさも、できることも違います。低学年の時期は身長や体重の増加は緩やかですが、高学年になると成長のスピードは速くなり第二次成長期を迎えます。
 低学年では、学校に通うようになり、それまでの母親や家族近隣との関わりから学校の先生や友人、地域の大人との関係を築くようになります。子どもたちを囲む社会が広がっていくのです。その中で勉強やスポーツや遊びを通して、集団生活でのルールを守ること、善悪の判断などの基礎が作り上げられます1)
 高学年での体の発達では、男女差や個人差が大きい時期です。男の子より女の子の発育の方が一般的に早いと言われています。女の子は皮下脂肪が付き丸みを帯びた体つきになり卵巣が発達し初潮が現れます。男の子は筋肉が発達した体つきになり精巣が発達し射精が始まる子もいます。心理的には、学習面や交友関係、親子関係、教師との関係など、様々な場面で自分を見つめるようになり、第二反抗期と言われる時期になります2)
 糖尿病を持つこの時期の子どもでは、小学校へ入学し給食が始まると、注射を学校で行うことになります。インスリン注射を学校で準備、注射、片付けまで自分で行うには、子ども自身で全てできるようにならなければなりません。小学生低学年の1型糖尿病の子どもの自己管理の目標のひとつとして血糖測定やインスリン注射など自分でできるが挙げられています3)。この目標を達成するためには、幼児期のうちから練習を重ねていくことも必要です。小学3〜4年生頃にはほとんど自分で注射が打てるようになります。まだ子どもが自分で自己注射ができない場合、給食を食べて午後の学校生活を終え、帰宅後に血糖測定を行い間食前に注射を打って血糖調整をしたり、ご両親が給食前に学校へ注射をしに通ったりなど、ご家族の状況や考え方によって選択していきます。どちらが良い悪いではなく環境に合わせた治療の選択は必要ですが、血糖コントロールについても子どもと一緒に考えながら、「子ども自身で注射ができる」にサポートすることが重要です。
 また、低〜中学年では注射が抵抗なくできていたのに、高学年になると急に「なんで私(僕)だけ注射なんかやらなきゃいけないの。私はほかの人と違う。」と訴えてくることがあります。これは、当たり前のものとして受け入れてきたことに対して疑問や反発を感じ、それまであまり気にしていなかった糖尿病である自分へ関心が向けられ、内面的な自己の概念が作り出される時期だからです4)。学校での先生の対応に対しての不満や、友人との関係に悩むのもこの時期における特徴となります。また、思春期の入り口に立つ高学年では、今まで上手に血糖コントロールを行っていたお子さんでも、苦戦することもあります。第2次性徴の始まりがあるこの時期の特徴となります。

引用・参考文献
  • 1)安藤朗子:学童期における心の発達と健康.母子保健情報 第54号.P53-57.2006.
  • 2)中野綾美編:小児看護学―小児の発達と看護.メディカ出版.大阪.P116-132.2009.
  • 3)白畑範子:1型糖尿病を持つ子どもの “特別ではない” “ふつうである” に向けたセルフマネージメントの特徴とケア.小児看護.35(2):221-227.2012.
  • 4)白畑範子,鈴木学爾,若山幸恵:1型糖尿病をもつ子どもと家族のライフサイクルに合わせた支援 学童期の子どもと家族,小児看護.26(7):831-836.2003.
(2016年03月 公開)
目 次
第1章 基礎講座編
1. 糖尿病と女性のからだ
2. あなたと私のための糖尿病基礎講座
第2章 子どもたちのこころとからだと糖尿病のある生活
1.糖尿病とともにある子どもたち―幼児―
2.糖尿病とともにある子どもたち―学童―
3.糖尿病とともに大人の女性への階段を登る―思春期―
番外編 明日からの糖代謝異常妊婦のケアを考えよう

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