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5. 5分でわかる糖尿病
2000年09月

「糖尿病ネットワークは難しい」というご意見に応え、今回はわかりやすいく糖尿病を理解してもらうにはどうすればよいのか考えながら作ってみました。健康診断で「血糖値が高め」と言われた人、糖尿病と診断されて間もない人などに読んでいただければと思います。  なお、このページでいう糖尿病は、2型糖尿病のことです。
(1型、2型についての解説はこちら

■血糖値って何?

 血糖値とは「血糖の値」ということで、血液の中に血糖がどれくらい含まれているかを表す数値です。単位は mg/dL(ミリグラム/デシリットル)で、血液1デシリットル(1リットルの10分の1の量)に血糖が何ミリグラム含まれているか、その濃さを表します(1ミリグラムは1グラムの 1,000分の1の重さ)。
 では、血糖とはなにかというと、それは血液の中のブドウ糖のことです。ブドウ糖は生命を維持し、からだを動かすエネルギーの源となる栄養素です。ごはんやパン、いもなどの糖質(炭水化物ともいいます)食品や砂糖などを消化・吸収して作られています。

■血糖値はどれくらいならいいの?

 血液中のブドウ糖(=血糖)は、すい臓で作られる「インスリン」というホルモンの働きで全身の細胞に取り込まれ、その細胞のエネルギー源になります。インスリンの効きが悪いと、細胞が血糖を取り込めなくなって、血糖は血液中にだぶつき、血糖濃度(=血糖値)が高くなります。この状態を「高血糖」といいます。高血糖が続くのが「糖尿病」です。  血糖値は食事をとると高くなり、時間がたつと低くなります。健康な人の空腹のときの血糖値はだいたい 100以下で、食後の高いときでも 160を越えることはありません。これより高いときには糖尿病が疑われ、詳しい検査がすすめられます。

■血糖値が高いだけで何も症状がないのに、
なぜ病気だっていわれるの?

 ふつう多少血糖値が高くても、自覚症状は何もありません。しかし、高血糖をそのまま放置していると、血管に障害が起こり、多くの病気が出てきます。それらの病気のことを、糖尿病の「合併症」と呼んでいます。
 おもな合併症として、網膜症という目の病気や腎症という腎臓の病気、あるいは神経障害、動脈硬化、心臓病、脳卒中、足のエソなどがあげられます。そして、合併症はいったん起きてしまうと、それを治療し元に戻すのはなかなか難しいのが現状です。実際に、糖尿病による網膜症は成人の失明原因のトップですし、腎症は生命維持に人工透析が必要になる原因のトップとなっていることなどから、合併症の怖さがおわかりいただけることと思います。
 糖尿病を治療するのは、これらの合併症を予防することが目的です。血糖値を健康な人と同じレベルに下げておけば、合併症を予防できます。ですから、何も自覚症状がなくても、血糖値が高い状態が続いているとわかった時点から、それを病気の状態ととらえ、治療していく必要があるのです。

■血糖値はどうすれば下がるの?

 血糖値が高くなるのはインスリンの作用が弱くなるためです。インスリンの作用が弱くなる理由は、糖尿病体質の遺伝のほか、過食や運動不足などの生活習慣、それによる肥満、精神的ストレス、などによるからだへの負担です。
 血糖値を下げるには、まず、からだへの負担をなくすため生活習慣を見直し、もし太り気味であれば減量し、ストレス発散を心掛けるようにします。それでもまだ血糖値が高い場合には、薬を服用(あるいは注射)して血糖値を下げ、合併症を予防します。

■境界型(予備軍)なら治療しなくて大丈夫でしょ?

 境界型(予備軍)は、その名のとおり、糖尿病と診断されるかされないかギリギリの状態、いずれ糖尿病になる確率が高い状態ということです。ですから、定期的に検査を受けて、糖尿病が発病した場合にそれを早期発見できるようにしておく必要があります。
 また、予備軍の状態では、糖尿病に「特有」の合併症の心配は少ないのですが、合併症が起きないとはいえない、ということも知っておいてください。どういうことかというと、糖尿病の合併症のうち、糖尿病に特有でない合併症、つまり糖尿病以外の病気の影響も受けて発病・進行する合併症は、糖尿病予備軍の段階から起こり得るということです。糖尿病以外の病気でも起こる合併症とは、具体的には「動脈硬化」のことです。
 動脈硬化は糖尿病のほか、高血圧や高脂血症などによっても起こります。予備軍の人は、こういった病気を高い頻度で併発していて、糖尿病と診断される人と同じように、動脈硬化になりやすいこともわかっています。動脈硬化は、心臓病や脳卒中を引き起こす、大変怖い病気ですから、境界型(予備軍)といわれた人は、血糖値とともに血圧やコレステロール値、中性脂肪などにも気を配り、早め早めに治療を受けられるようにしてください。

●関連情報
  糖尿病セミナー
   「動脈硬化と糖尿病
   「糖尿病予備群

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INDEX
  1. 厚生白書に見る糖尿病
  2. 糖尿病の患者数と医療費の推移
  3. 目で見る病型、病気のかたち
  4. 糖尿病食と減塩食
  5. 5分でわかる糖尿病
  6. インスリンを打つということ、食事を摂るということ
  7. 足がビリビリ? 神経障害
  8. 糖尿病ネットワークを担当して
  9. 『糖尿病からの帰還』を読んで
  10. 眼鏡をかけるとよく見える?
  11. 糖尿病の方が加入できる保険
  12. 糖尿病と人工透析(1999)
  13. 長時間、飛行機に乗る際に
  14. 高血糖は高血圧や高脂血症より、健康上の問題として認識されにくい
  15. インスリン誕生の地
  16. GOLD・たばこ・糖尿病
  17. 「糖尿病ネットワーク」開設5周年
  18. 食後3時間以上経過して血糖値200以上の人の頻度、ほか
  19. 超速効型インスリンは、山を削って谷を埋める
  20. 尿糖を調べてみよう
  21. 生活習慣病の一次予防に向けて
  22. “インスリンに頼る”という表現
  23. 民間療法
  24. 「日臨内研究2000」にみる、糖尿病性神経障害とわが国の糖尿病の実態
  25. 糖尿病の食事療法
  26. 雑感『生活エンジョイ物語』
  27. 血糖値の情報量
  28. 女性糖尿病患者はどこに?〜性差と病名について〜
  29. 気になったセールストーク
  30. インスリン療法を続けて50年 第1回「リリー インスリン50年賞」表彰式
  31. 糖尿病患者として世界で初めて南極点へ到達 ウイル・クロスさん
  32. 糖尿病とたばこ
  33. 旅行者血栓症
  34. インスリン療法を続けて50年
  35. 糖尿病患者さんの年末・年始の過ごし方