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34. インスリン療法を続けて50年
2004年11月

〜第2回「リリー インスリン50年賞」表彰式〜

 11月12日、インスリン療法を50年以上継続している患者さんを表彰する第2回「リリー インスリン50年賞」(主催:日本イーライリリー)の表彰式が都内で行われました。3名の1型糖尿病と2型糖尿病の患者さんが受賞し、名前を刻印した純銀製のメダル(右写真)が贈呈されました。受賞した患者さんたちは誇らしげに壇上に立ち、集まった方々の祝福を受けていました。


表彰式から
(右)中山恒明さんの代理で出席した長女の川名数子さん、(中)内海静江さん、(左)山田マサエさん
 糖尿病は一生の病気といわれるように、病気との長い付き合いが必要です。治療についても、一生気長に続けるという気持ちが大切です。50年という長い年月をインスリン療法と血糖コントロールに努めてきた患者さんのお話は、一言で言い尽くせないたくさんの思いが込められており、他の患者さんにとって参考になる点が多く、また強い励ましにもなります。

受賞されたのは下記の方々です。
中山恒明さん (東京都在住)
内海静江さん (群馬県在住)
山田マサエさん (栃木県在住)


中山恒明さん(中央)
医師として多忙な日々を送っている中で糖尿病と診断されました

内海静江さん
2人のお子さんに挟まれて

山田マサエさん
ご家族といっしょに
■糖尿病とともに50年

 糖尿病の治療はその時代の医学の進歩を反映しています。受賞された患者さんが糖尿病を発症した時期は、現在では考えられないほど治療が困難でした。

 わが国では糖尿病患者さんの数が少なかったので、一般の人々の間で糖尿病についての理解を得るのは大変なことでした。また、糖尿病外来のある病院も多くはなく、患者さんの中には夜明け前に起きだして、遠くにある病院を訪れるという方もいました。治療においても、現在のような血糖測定器はなく、採血は耳たぶからランセットで刺して行い、測定値が出るまでに長い時間がかかったり診察日にわからないことも少なくありませんでした。

 当時はインスリン自己注射も認められていませんでした。健康保険が適用され容認されたのは1981年以後です。もちろん便利なペン型注射器もありませんでした。患者さんにとっても、医師にとっても、現在からは想像できない苦労がありました。

 また糖尿病のある女性にとって、妊娠はとても困難なことでした。医師はその時代によいと考えられている治療を、患者さんのために一生懸命尽くして行います。しかし、その当時は糖尿病妊娠について、病院で「命を保証できない」、「子どもどうなるかわからない」、「ご自分のからだのために子どもは作ってはいけない」と言われることもありました。こうした患者さんが抱えた困難ははかりしれない程きびしいものでした。

 この50年間に治療法や治療薬がずいぶん変わりました。インスリン製剤にはさまざまな改良や開発が重ねられ、精製度が改善され、遺伝子組換えヒトインスリンが使われるようになり、さらには、超速効型インスリンなど新しいインスリン製剤が治療に使われるようになりました。今後もより進歩したインスリン製剤が開発され、患者さんの負担は少なくなっていくことでしょう。

 インスリン注射が必要になっている患者さんに、インスリン注射を恐れたり、怖がったり、あるいは拒否することなく、インスリンを受容してよいコントロールで長生きしていただきたいものです。今回受賞した「糖尿病の先輩たち」のお話は、すばらしい励ましになります。

■受賞した患者さん

中山恒明さん
 1954年、44歳当時に2型糖尿病の診断を受け、インスリン治療を開始。
 消化器がんの世界的な権威として、わが国の外科学の歴史で大きな役割を果たした医師です。1965年、東京女子医科大学消化器病センターを設立、初代所長に就任。1976年退任。(同大学消化器病センター名誉所長)
 多忙を極めた生活の中で、医師でもあったので始めからインスリン自己注射による治療を行い、血糖コントロールを続けました。
 趣味も釣り、畑仕事、絵画、彫刻、写真撮影など多彩です。

内海静江さん
 1953年、30歳当時に1型糖尿病を発症し、インスリン治療を開始。
 発症当時すでにお2人のお子さんがいて育児と家事に忙しい毎日でしたが、血糖コントロールに努力し、三女を出産。病院の患者さんの会でも活躍し、糖尿病料理教室の企画や運営に携われました。
 視覚障害が起きていましたが、琴城流大正琴を取得。音楽を楽しむことを憩いにしています。

山田マサエさん
 1952年、24歳時に1型糖尿病を発症し、インスリン治療を開始。
上京して縫製所で勤務している頃に入院するなど辛い時期もありましたが、その後結婚し一児をもうけました。仕事や育児、家事と忙しい中で、血糖コントロールも頑張りました。
 家庭菜園で四季おりおりの野菜作りを楽しんでいます。

リリー インスリン50年賞
 人生の50年以上をインスリン療法とともに歩んできた糖尿病患者さんを表彰するための賞です。米国を中心に約1,500人の患者さんが受賞しています。昨年より日本でも、日本イーライリリーの主催により実施されています。来年以降も継続し、2005年度の表彰に向けた応募も開始される予定です。

●関連情報
  日本イーライリリー

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INDEX
  1. 厚生白書に見る糖尿病
  2. 糖尿病の患者数と医療費の推移
  3. 目で見る病型、病気のかたち
  4. 糖尿病食と減塩食
  5. 5分でわかる糖尿病
  6. インスリンを打つということ、食事を摂るということ
  7. 足がビリビリ? 神経障害
  8. 糖尿病ネットワークを担当して
  9. 『糖尿病からの帰還』を読んで
  10. 眼鏡をかけるとよく見える?
  11. 糖尿病の方が加入できる保険
  12. 糖尿病と人工透析(1999)
  13. 長時間、飛行機に乗る際に
  14. 高血糖は高血圧や高脂血症より、健康上の問題として認識されにくい
  15. インスリン誕生の地
  16. GOLD・たばこ・糖尿病
  17. 「糖尿病ネットワーク」開設5周年
  18. 食後3時間以上経過して血糖値200以上の人の頻度、ほか
  19. 超速効型インスリンは、山を削って谷を埋める
  20. 尿糖を調べてみよう
  21. 生活習慣病の一次予防に向けて
  22. “インスリンに頼る”という表現
  23. 民間療法
  24. 「日臨内研究2000」にみる、糖尿病性神経障害とわが国の糖尿病の実態
  25. 糖尿病の食事療法
  26. 雑感『生活エンジョイ物語』
  27. 血糖値の情報量
  28. 女性糖尿病患者はどこに?〜性差と病名について〜
  29. 気になったセールストーク
  30. インスリン療法を続けて50年 第1回「リリー インスリン50年賞」表彰式
  31. 糖尿病患者として世界で初めて南極点へ到達 ウイル・クロスさん
  32. 糖尿病とたばこ
  33. 旅行者血栓症
  34. インスリン療法を続けて50年
  35. 糖尿病患者さんの年末・年始の過ごし方