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33. 旅行者血栓症
2004年11月
 「旅行者血栓症(肺血栓塞栓症)」は、長時間下半身を動かさないでいるために太股の付け根や膝の裏側などの血流が抑えられてできた足の静脈の血のかたまり(深部静脈血栓)が、立ち上がったり歩行したりすることをきっかけに血流に乗って移動し、肺に流れ着き血管を詰まらせてしまう病気です。呼吸困難になり死に至ることもあります。
 「エコノミークラス症候群」と呼ばれることもありますが、エコノミークラス以外の座席に座っていても起こることがあり、また飛行機以外の交通機関でも同様なことが起こることから、最近では「旅行者血栓症」と呼ばれています。

■なぜ起こるのか

 飛行機の中はとても乾燥していて湿度が20%以下になることがあります。そのため大量の水分がからだから失われてしまい、血液の粘り気が増して血のかたまり(血栓)ができやすくなります。さらに、狭い座席で同じ姿勢で座り続けていると、足の静脈の血のめぐりが悪くなり、やはり血栓ができやすくなります。そして着陸後に立ち上がって歩き始めると急に血流が増え、足の静脈にできた血栓が血流に乗って心臓に流れ、さらに肺まで流れて血管を詰まらせてしまうのです。

■糖尿病の人は特にご注意

 「旅行者血栓症」になりやすいのは、血がかたまりやすい人、足の血管の内壁が傷ついている人などです。糖尿病の患者さんは動脈硬化が進行しやすく、血栓ができやすい状態にある場合があるので特に注意が必要です。

■予防するために必要なこと

○適度な水分補給
  からだから水分が失われると起こりやすくなるので十分な水分補給が望まれます。特に窓側に座ったときなどにトイレに行く 回数を減らすために、水をあまり飲まない人がいますが、これはよいことではありません。手元に飲み物を置いておいて対策し ましょう。
  気を付けなくてはならないのは、コーヒー、紅茶、緑茶などカフェインの入った飲み物であると利尿作用があるので、水分が 尿になって体外に出ていってしまうおそれがあることです。また、ビールやワインなどアルコール飲料も同じく利尿作用があり ます。予防の観点から言えばミネラル・ウォーターなどがよいでしょう。
 また、下痢や発熱をしていると水分が失われやすいので、ふだんより多めの水分補給が必要です。

○からだ(足)を動かす
  長時間飛行機などの中で座っいるときは、水分補給に加えて、足の運動も大切です。座ったままの姿勢で、足のかかとやつま 先を上下させたり、足の指を動かしたりする運動を1時間ごとに数分程度続けましょう。深呼吸をして静脈の血液の流れをよく することも効果があります。
  トイレに立って歩くのも運動になります。途中、通路の広いところで軽く体を動かすと効果的です。最近では航空会社によっ ては、飛行機の中で座って行う体操などの番組が放映がされることもあるので、利用するとよいでしょう。

さらに次のことなどがポイントです。
1.からだを締めつけないように、服装はゆったりとしたものにする。
2.過度に水分が奪われるのを防ぐため、肌を露出しないようにする。
3.事前に主治医に注意事項をよく聞いておく。

 また、飛行機に長時間乗った後で立ち上がったときに胸苦しさや呼吸しにくいといった症状があるときは、すぐにそばにいる航空会社の職員に告げて、病院へいく手助けをしてもらいましょう。おかしいなと感じたら、ためらわずに医師の診察を受けるようにしましょう。

[参考になるサイト]
トラベルサポート 快適な空の旅のために(日本航空)
http://www.jal.co.jp/health/
エコノミークラス症候群(旅行者血栓症)に関する提言(日本宇宙航空環境医学会)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsasem/news/ecs.html
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INDEX
  1. 厚生白書に見る糖尿病
  2. 糖尿病の患者数と医療費の推移
  3. 目で見る病型、病気のかたち
  4. 糖尿病食と減塩食
  5. 5分でわかる糖尿病
  6. インスリンを打つということ、食事を摂るということ
  7. 足がビリビリ? 神経障害
  8. 糖尿病ネットワークを担当して
  9. 『糖尿病からの帰還』を読んで
  10. 眼鏡をかけるとよく見える?
  11. 糖尿病の方が加入できる保険
  12. 糖尿病と人工透析(1999)
  13. 長時間、飛行機に乗る際に
  14. 高血糖は高血圧や高脂血症より、健康上の問題として認識されにくい
  15. インスリン誕生の地
  16. GOLD・たばこ・糖尿病
  17. 「糖尿病ネットワーク」開設5周年
  18. 食後3時間以上経過して血糖値200以上の人の頻度、ほか
  19. 超速効型インスリンは、山を削って谷を埋める
  20. 尿糖を調べてみよう
  21. 生活習慣病の一次予防に向けて
  22. “インスリンに頼る”という表現
  23. 民間療法
  24. 「日臨内研究2000」にみる、糖尿病性神経障害とわが国の糖尿病の実態
  25. 糖尿病の食事療法
  26. 雑感『生活エンジョイ物語』
  27. 血糖値の情報量
  28. 女性糖尿病患者はどこに?〜性差と病名について〜
  29. 気になったセールストーク
  30. インスリン療法を続けて50年 第1回「リリー インスリン50年賞」表彰式
  31. 糖尿病患者として世界で初めて南極点へ到達 ウイル・クロスさん
  32. 糖尿病とたばこ
  33. 旅行者血栓症
  34. インスリン療法を続けて50年
  35. 糖尿病患者さんの年末・年始の過ごし方