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32. 糖尿病とたばこ
2004年05月
■糖尿病の方にとって喫煙の害は特に深刻

 たばこには200種類以上の有害物質が含まれています。特に生理的な影響が強いのはニコチンやタール、一酸化炭素です。これらは、血管を収縮させ血圧を上げたり、心拍数を増やしたり、酸素不足を引き起こします。さらに、血液中の悪玉のLDLコレステロールを増やし、善玉のHDLコレステロールを減らすこともわかっています。これらが影響し合い、細い血管は傷められやすくなり、太い血管にも動脈硬化が早く起こります。

 糖尿病の方が高血糖を放置していると血流障害が生じ血管が傷められます。これに喫煙が加わることで危険因子が増えて、互いに関係し雪ダルマ式にリスクが高まります。逆に考えれば、リスクを一つでも減らせば、よい影響も広がります。糖尿病の方は血糖コントロールに励むと同時に、(喫煙をしている場合は)禁煙にも挑戦しましょう。

 たばこには、その他にもたくさんの害があります。いくつか挙げると、

  • 胃がん、肺がん、喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がんなど多くのがんになりやすくなります。
  • たばこの煙が気管や肺を刺激し、気管支炎や肺気腫のリスクが高くなります。
  • たばこを吸う人は、吸わない人より歯周病になりやすいことがわかっています。
  • 吸わない人への受動喫煙も深刻です。
 自分では吸わなくてもたばこの煙を浴びているだけで、喫煙者と同じように血管収縮や血圧上昇など、悪い影響がでてきます。特に家族への影響は大きく、子供の発育、喘息、肺炎、気管支炎にも悪影響を及ぼします。

■禁煙は時代の流れ

 たばこがからだに及ぼす深刻な害について知っていても、中には「もう何年もたばこを吸っているから、いまさら禁煙なんて無理」、「何度も禁煙しようとしたけれど、成功しなかった」と言う方もいらっしゃるかもしれません。それでは、次のことはいかがでしょうか。

世界中でたばこの害は問題になっています
 たばこの問題は今や、喫煙しているご本人だけの問題ではなく、国際社会の問題でもあります。
 2003年5月に WHO(世界保健機関)において、「たばこ規制枠組み条約」(WHO Framework Convention on Tobacco Control)が承認されました。これを受けて世界中で、喫煙がからだに及ぼす悪い影響を広く伝え、受動喫煙の防止や、多くの方が利用する公共施設での禁煙を義務づける取り組みが進められています。すでにこの条約に118国が署名しており、ノルウェー、ハンガリー、インド、シンガポール、ニュージーランドなど16国で批准されています。(5月30日時点)。

 米国の保健省(HHS)は、喫煙の健康が及ぼす影響についての報告書を発表し、「喫煙はほぼすべての臓器に対し害がある」と結論付けました。米国の全人口の約3%に相当する約860万人が喫煙を原因とする慢性病にかかっており、たばこが原因の病気で亡くなる人は毎年約44万人に上ります。喫煙をする男性は平均で13.2年、女性は14.5年寿命が短くなり、経済的な損失は17兆2700億円(1570億ドル/1ドル=110円)、喫煙者の直接医療費だけで8兆2500億円(750億ドル)と推定されます。  (2004.05.27)

詳細は情報掲載ページへ >> http://www.hhs.gov/news/press/2004pres/20040527a.html(英文)

 WHO のホームページ(http://www.who.int/)たばこの問題に関するトピックスが掲載されています。


■日本でも流れは禁煙へ

 日本も2003年3月に「たばこ規制枠組み条約」に署名しました。それを受けて、同年5月に健康増進法が施行され、環境整備の一環として「受動喫煙の防止」が設けられました。さらに2004年の6月中にこの条約が批准される予定で、そうなると電車やバスの車内、屋外看板などの広告は規制され、新聞なども大幅に減らされます。さらに、テレビ、ラジオ、インターネットは原則禁止、電車やバスの車内、駅構内など公共性の高い場所での広告は全面的な禁止です。たばこ業界の反発が予想されますが、たばこ広告の規制がますます進むことは間違いありません。

■禁煙に成功するために

 たばこの害があきらかになり、また、社会が喫煙者に厳しくなるにつれて、禁煙を試みる人はますます増えています。書店に行くと「こうすれば禁煙に成功できる」、「○週間でたばこをやめる方法」といった類の本がたくさん目に入ってきます。これだけ禁煙に関する本がたくさん出ているのは、禁煙を試みてもうまくいかない人が多いからです。
 そこで、禁煙に成功するポイントを考えてみました。

禁煙に成功するポイント

  • 「たばこをやめる強い意志をもつこと」
      ご自分が禁煙の必要についてよく理解し、強く決意をすることがもっとも大切です。
  • 周囲の助けを借りる
      職場や友人など周囲の協力を得られれば、禁煙はうまくいくようになります。
      ご家族の協力も大切です。受動喫煙の害について理解し、たばこをやめたい気
      持ちを説明すれば、ご家族のあたたかい協力も得られるようになるのではない
      でしょうか。
  • 「禁煙外来で医師に相談する」
      なかなか禁煙に成功できない人は、医療機関で医師に禁煙指導をしてもらうの
      一つの方法です。禁煙によって生じる離脱症状をやわらげるためのニコチン製剤や、
      経験豊かな医師のアドバイスがあれば成功率は高まります。
たばこをやめると、こんなにメリットがあります
  • 血行がよくなります
  • せきやたんがなくなり、口の中がさっぱりします
  • 味覚や嗅覚がよくなります
  • 受動喫煙で他人に不快感を与えることがなくなります
  • 余計な出費がなくなります
  • 火の後始末の心配がなくなります
●関連情報
  厚生労働省「たばこと健康に関する情報ページ
  大阪府立健康科学センター
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INDEX
  1. 厚生白書に見る糖尿病
  2. 糖尿病の患者数と医療費の推移
  3. 目で見る病型、病気のかたち
  4. 糖尿病食と減塩食
  5. 5分でわかる糖尿病
  6. インスリンを打つということ、食事を摂るということ
  7. 足がビリビリ? 神経障害
  8. 糖尿病ネットワークを担当して
  9. 『糖尿病からの帰還』を読んで
  10. 眼鏡をかけるとよく見える?
  11. 糖尿病の方が加入できる保険
  12. 糖尿病と人工透析(1999)
  13. 長時間、飛行機に乗る際に
  14. 高血糖は高血圧や高脂血症より、健康上の問題として認識されにくい
  15. インスリン誕生の地
  16. GOLD・たばこ・糖尿病
  17. 「糖尿病ネットワーク」開設5周年
  18. 食後3時間以上経過して血糖値200以上の人の頻度、ほか
  19. 超速効型インスリンは、山を削って谷を埋める
  20. 尿糖を調べてみよう
  21. 生活習慣病の一次予防に向けて
  22. “インスリンに頼る”という表現
  23. 民間療法
  24. 「日臨内研究2000」にみる、糖尿病性神経障害とわが国の糖尿病の実態
  25. 糖尿病の食事療法
  26. 雑感『生活エンジョイ物語』
  27. 血糖値の情報量
  28. 女性糖尿病患者はどこに?〜性差と病名について〜
  29. 気になったセールストーク
  30. インスリン療法を続けて50年 第1回「リリー インスリン50年賞」表彰式
  31. 糖尿病患者として世界で初めて南極点へ到達 ウイル・クロスさん
  32. 糖尿病とたばこ
  33. 旅行者血栓症
  34. インスリン療法を続けて50年
  35. 糖尿病患者さんの年末・年始の過ごし方