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 No.2
糖尿病の患者数と医療費の推移
(2000.8)

厚生省が実施している「患者調査」と「国民医療費の概況」から、糖尿病の患者数と医療費の推移を調べてみました。他の生活習慣病(高血圧性疾患、脳血管疾患、虚血性心疾患、悪性新生物)と比較しながらみていきます。
 「患者調査」は1984年以降3年ごとに(それ以前は毎年)、「国民医療費の現況」は毎年実施されています。途中、病名の分類方法や集計方法が変更されたりしていますので、年次推移としては単純に比較できない面もありますが、どの病気が増えどの病気が減ってきているかという傾向をみることはできます。

■31年間で推計患者数は7.2倍に

 まずは推計患者数です。患者調査で「糖尿病」の推計患者数が初めて示されたのは1965年のようで、この時の推計患者数は3万3,000人です。最も新しいデータの1996年が23万7,400人ですから、この31年間で7.2倍に増えていることがわかります。ちなみに1965年の高血圧性疾患の推計患者数は23万9,800人、悪性新生物は3万6,900人、推計患者数の総計は580万8,100人で、虚血性心疾患や脳血管疾患の数値は示されていません。  1968年からは、前記のすべての疾患の推計患者数が記載され始めます。その数値を多い順に並べると、高血圧性疾患30万5,200人、脳血管疾患9万4,100人、糖尿病4万 9,400人、悪性新生物4万5,800人、虚血性心疾患3万8,700人で、推計患者数の総計は673万9,200人です。  最新の1996年のデータでは、高血圧性疾患73万9,400人、脳血管疾患38万9,800人、悪性新生物26万1,400人、糖尿病23万7,400人、虚血性心疾患13万9,100人で、総計は881万300人となっています。1968年の推計患者数を1とした場合、この間28年で最も増えているのが悪性新生物で5.7倍、次が糖尿病で4.8倍、続いて脳血管疾患4.1倍、虚血性心疾患3.6倍、高血圧性疾患2.4倍となります。

推計患者数の推移

■医療費は19年間で5.2倍に

 次に医療費をみてみましょう。糖尿病の医療費の記載は1979年に始まっています。この年、前記の疾患のうちで最も医療費が多かったのは高血圧性疾患で7,883億円、次が脳血管疾患で5,962億円、以下、悪性新生物5,774億円、虚血性心疾患2,091億円と続き、最後が糖尿病で1,977億円です。なお、一般診療医療費の総額は9兆7,043億円です。
 最新の1998年の統計をみてみましょう。一位は悪性新生物で2兆267億円、次が脳血管疾患1兆9,752億円、高血圧性疾患1兆7,251億円、糖尿病1兆325億円、虚血性心疾患7,458億円、総額23兆4,827億円です。1979年から一位と三位、四位と五位の順序が入れかわっていて、悪性新生物と糖尿病が増え、高血圧性疾患と脳血管疾患は相対的に減っていることがわかります。
 19年間の伸び率が高い疾患から並べると、糖尿病5.2倍、虚血性心疾患3.6倍、悪性新生物3.5倍、脳血管疾患3.3倍、高血圧性疾患2.2倍となります。この間の総額の伸び率(すべての疾患の平均の伸び率)は2.4倍です。高血圧性疾患を除けば、いずれも平均以上に増えていて、とくに糖尿病の医療費の伸びが目立ちます。

 全体としては、平均的な塩分摂取量が減ったことで高血圧が相対的に減り、糖尿病(あるいは高脂血症)の増加などの影響から、虚血性心疾患は増えているという結果が伺えます。脳血管疾患も、降圧薬治療の進歩で著しい高血圧による脳出血は減っても、反対に脳梗塞が増えているために、合計ではやはり増加している状況と考えられます。

医療費の推移

■用語解説

推計患者数
その調査を行った当日に、全国の医療機関を受診したと推計される患者数のこと。総患者数(継続的に治療を受けている患者数の推計値)とは異なります。
(例:1996年の糖尿病の推計患者数は23万7,400人で、総患者数は217万5,000人)

一般診療医療費
国民医療費から歯科診療、薬局調剤、入院時の食事、老人保健施設療養、訪問看護などを除いた医療費。
(例:1998年の国民医療費は29兆8,251億円で、そのうち一般診療医療費は23兆4,827億円)

悪性新生物
いわゆる「がん」と、ほぼ同じ意味です。

脳血管疾患
おもに、脳卒中(脳出血、脳梗塞)のことを指します。脳卒中のうち脳出血には、脳内出血やクモ膜下出血などがありますが、いずれも高血圧が原因で起きることが多い脳の発作です。これに対し脳梗塞は、脳の血管が詰まって脳へ血液が流れなくなる脳発作です。脳梗塞は高血圧のほか糖尿病や高脂血症なども主要原因となるほか、心臓病の影響による発作も少なくありません。

虚血性心疾患
狭心症や心筋梗塞のことです。心臓の筋肉に血液を送っている血管「冠動脈」が細くなり、心臓発作が起きる病気です。脳血管疾患と同様に、高血圧や糖尿病、高脂血症が深く関係しています。

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