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13. 長時間、飛行機に乗る際に
2001年03月
〜糖尿病の方はエコノミークラス症候群に、特にご注意を!〜

 海外渡航者は年々増え、近年では高齢や病気を理由に海外旅行をあきらめる方は少なくなりました。しかし、機内がどのくらい悪環境であるかはあまり知られていません。

 機内の気圧と酸素濃度は、富士山の五合目と同じくらい低く、湿度においてはサハラ砂漠よりも乾燥しています(『日経メディカル』2000年12月号より)。また、コントロールされていない高血圧は、航空宇宙医学学会のメディカル・ライン(1997年)にある、循環器疾患患者の飛行機搭乗禁止項目にもあげられています。

 最近では、エコノミークラス症候群で死亡者が出るという報道がありましたが、糖尿病患者はエコノミークラス症候群になりやすいそうです(『Balance』(Diabetes UK(イギリス糖尿病協会)発行) 2001年1・2月号より)。  それでは、機内ではどういったことに注意すればいいのか? エコノミークラス症候群とは一体なんなのか? などをQ&A式にまとめてみました。旅行前にぜひ参考になさってください。

■エコノミークラス症候群ってなんですか?

A 飛行機の狭い座席に長時間座り、脚を動かさないでいるために起こる血栓症のことをいいます。エコノミークラス症候群で死に至るのは、その血栓が脚から肺などに移動し、肺塞栓などを引き起こすためです。肺塞栓が起きると、呼吸は普通にしているのに肺でのガス交換ができなくなって、血液中の酸素がどんどん減ってしまうのです。

 症候群に「エコノミークラス」の名前が使われていますが、状況は「ファーストクラス」や「ビジネスクラス」でも、座席の広さを除けば同じですし、長距離バスや会社内のデスクワークでも起こりえます。そのため、イギリス上院は2000年11月に、症候群の名前を改名するよう勧告しています。

■どうして糖尿病患者はエコノミークラス症候群になりやすいの?

A 糖尿病で血糖がよくコントロールされていない人は血管内皮が傷んでおり、糖尿病でない人より血液のめぐりがよくありません。また、飛行機内は乾燥し、脱水症状が起こりやすいので、地上よりも血行不良になりやすい環境にあるといえます。そのため、糖尿病の方は糖尿病でない人よりもエコノミークラス症候群を発症する危険性が高いのです。その他に、肥満の方、妊婦、高齢者の方が発症しやすい傾向があります。

■発症の兆候とかあるの?

A ふくらはぎに痛みを感じたら、血栓ができている可能性があります。早急に乗務員に申し出て下さい。その際、脚には触れないでください。ふくらはぎに痛みがあっても触れてはいけません。血栓が上に移動してしまうかもしれないからです。

 また、胸痛や呼吸困難がある場合には、肺塞栓が起きていることが多いそうです。

 兆候が見えてからの処置では手遅れになることもあります。その前に予防策をきちんと守ることが大切です。

■予防策を教えて下さい

A まず、血液の濃度を適切に保つために、水分を摂ることが大切です。ただし、利尿作用のあるアルコール、カフェインは避けます。

 食事は胃に負担をかけないために、軽くした方がいいでしょう。そして、血流をよくするために1時間に1度、席をたつことをおすすめします。

 患者さんは渡航前に必ず主治医に相談しましょう。

  • 水分を摂る
  • アルコール、カフェインは避ける
  • 食事は軽くにする
  • 1時間に1度、席をたつ
  • 渡航前に主治医に相談する
●関連情報
  機内での健康 (全日空HP)
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INDEX
  1. 厚生白書に見る糖尿病
  2. 糖尿病の患者数と医療費の推移
  3. 目で見る病型、病気のかたち
  4. 糖尿病食と減塩食
  5. 5分でわかる糖尿病
  6. インスリンを打つということ、食事を摂るということ
  7. 足がビリビリ? 神経障害
  8. 糖尿病ネットワークを担当して
  9. 『糖尿病からの帰還』を読んで
  10. 眼鏡をかけるとよく見える?
  11. 糖尿病の方が加入できる保険
  12. 糖尿病と人工透析(1999)
  13. 長時間、飛行機に乗る際に
  14. 高血糖は高血圧や高脂血症より、健康上の問題として認識されにくい
  15. インスリン誕生の地
  16. GOLD・たばこ・糖尿病
  17. 「糖尿病ネットワーク」開設5周年
  18. 食後3時間以上経過して血糖値200以上の人の頻度、ほか
  19. 超速効型インスリンは、山を削って谷を埋める
  20. 尿糖を調べてみよう
  21. 生活習慣病の一次予防に向けて
  22. “インスリンに頼る”という表現
  23. 民間療法
  24. 「日臨内研究2000」にみる、糖尿病性神経障害とわが国の糖尿病の実態
  25. 糖尿病の食事療法
  26. 雑感『生活エンジョイ物語』
  27. 血糖値の情報量
  28. 女性糖尿病患者はどこに?〜性差と病名について〜
  29. 気になったセールストーク
  30. インスリン療法を続けて50年 第1回「リリー インスリン50年賞」表彰式
  31. 糖尿病患者として世界で初めて南極点へ到達 ウイル・クロスさん
  32. 糖尿病とたばこ
  33. 旅行者血栓症
  34. インスリン療法を続けて50年
  35. 糖尿病患者さんの年末・年始の過ごし方