日本で糖尿病の急増が社会問題になっているが、糖尿病は海外でも大きな問題になっている。米国では女性の糖尿病も増加しており、社会的な対応と適正な知識の普及が急務とされている
米国糖尿病学会(ADA)は、女性と糖尿病のためのワークグループを立ち上げ、ホームページの公開を開始した。
女性と糖尿病
米国でも糖尿病は急増しており、患者数は約2,100万人で有病率は7.4%に上る。その中には子供と大人の患者が含まれる。しかし患者のおよそ3人に1人が女性で、970万人に上ることはあまり知られていない。
糖尿病が女性にもたらす脅威は出産や将来の世代に影響するので、男性以上に深刻かもしれない。糖尿病が妊娠中に障害を引き起こし、流産や乳児の先天性欠損につながるおそれがある。さらに、糖尿病の女性は年齢が若くても、心臓発作のリスクが高くなっている可能性がある
。
糖尿病で診断されない女性であっても、妊娠糖尿病の心配がある。妊娠糖尿病は糖尿病を合併した妊娠のことで、妊娠中に発症、あるいははじめて耐糖能異常が発見されることをいう
。
米国ではすべての妊娠の中で、妊娠糖尿病の発症が2%から5%に増加しており、多くは出産後に正常に戻るという。妊娠糖尿病であったり、体重が9ポンド(約4キログラム)を超える赤ちゃんを産んだ女性は、後に2型糖尿病を発症する危険が高くなるので、注意が必要だ。
糖尿病は米国の白人よりも、アフリカ系、ヒスパニック/ラテン系、先住民族、アジアや太平洋諸島の女性で多くみられ、発症は2倍から4倍高くなる。こうした層の人口が増えたことや、女性の平均寿命が延びたことが、米国の女性の糖尿病と糖尿病合併症が増加した一因と考えられている。
日本でも女性の糖尿病は増加
米国ほどではないが、日本でも女性の糖尿病は増えている。
日本糖尿病・妊娠学会の2005年の発表によると、妊娠糖尿病が年々増えており、妊娠中に検査を受けて発見されるケースが多いことが示された
。
日本人の糖代謝異常を合併した妊娠は、全体に占める割合は1996年は0.55%だったが、毎年増え続け、2002年には0.87%と1.6倍に増加したという。
出産適齢期の女性で、近親に糖尿病の人がいたり、自身が肥満である場合は、妊娠前、妊娠中に血糖測定検査を受けることが重要だ。
糖尿病と女性の結婚、妊娠、出産についての詳しい解説を、
こちらでみることができる。
糖尿病の女性と家族のためのサイト
米国糖尿病学会が公開を始めたウェブサイトは、糖尿病を克服するために、予防と効果的な治療が重要という考えから、正しい知識を普及するために開設したという。
英語で書かれてあるが、患者や一般向けにイラストや動画を使った分かりやすい解説ページも公開されており、日本人にも参考になる内容だ。
ADA「Women and Diabetes(女性と糖尿病)」の主な内容
- ・女性の健康についての話題
- 女性の健康についての最新情報を紹介。
- ・女性と糖尿病についてのQ&A
- 女性のよくある質問に女性が答えるページ。
- ・一般向けの医療情報
- 患者やその家族のために糖尿病についての情報を公開。
- ・糖尿病の医療スタッフ向け情報
- 糖尿病の療養や指導に役立つ情報を公開。
- ・法律と女性の健康
- 糖尿病とともに生きるためには法律の知識も必要。糖尿病の女性に役立つ情報を公開。
その他、ADAの行っている研究や、イベントの開催案内など。
●詳しくは米国糖尿病学会(ADA)のサイトへ(英文)
女性と糖尿病 www.diabetes.org/women/
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[ Terahata ]